ドル円は153円台前半に下落 後半になってドル売り優勢に=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円は153円台前半に下落 後半になってドル売り優勢に=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、後半になってドル売りが優勢となり、ドル円は153円台前半まで下落した。前日のNY時間の終了間際に急速に下落し、短時間に一時153円ちょうど付近まで5円程度急落していた。介入観測も出ていたが、東京市場では156円台まで戻していたが、海外市場に入って一本調子の下げが見られた。

 財務省は介入について明言を避けているが、日銀が2日公表した7日付けの日銀当座預金残の見通しから、3.5兆円程度の介入が実施されたのではとの観測が出ている。NY時間の終了間際で、通常は薄商いになる時間帯で実施したものと考えられている。FOMCが警戒していたよりもハト派な印象となったことで、全体的にドル安の流れが出ていたことも効果的であったのかもしれない。

 東京勢は明日から大型連休後半に入るが、明日は米雇用統計が発表される。財務省と市場が心理戦を繰り広げている中、内容次第でドル円が上昇した場合は、再び出てくる可能性も留意される。いまの状況であれば、日銀のレートチェックでも効きそうだ。

 きょうのユーロドルは緩やかな売りに押されており、1.06ドル台に値を落としている。21日線が1.0715ドル付近に来ているが、その水準は上値抵抗としてしっかり機能している状況。明日の米雇用統計を受けて上抜けるか、それとも1.06ドルちょうどの直近安値を再び試しに行くか注目される。

 市場はECBの6月利下げ開始をほぼ確実視しており、ECB理事もその見方を追認している。一部からは、もし6月利下げが見送られるとしたら以下のような要因が考えられるという。

 ラガルド総裁は金利決定はユーロ圏の賃金上昇が減速するかどうかにかかっていると明言した。それが予想外に加速すれば利下げが疑問視される可能性がある。サービスインフレは11月以来4%台で推移していたが、4月は3.7%に低下した。この数字が5月に予想外に今年の最高水準を更新した場合、見方が変わる可能性がある。ユーロが急落すれば、インフレは大幅に上昇する。その可能性は低いが、FRBの最近の変化はそのリスクを高めている。原油価格はインフレ期待を押し上げる可能性があるが、中東の地政学的混乱は、ECBを不安にさせる価格ショックの可能性を高めている。

 ポンドドルは買い戻しが優勢となった。1.24ドル台に値を落としていたものの、1.25ドルを割り込むと買いも入るようで、1.25ドル台に戻す展開。ポンドドルは底堅さを見せているものの、本日1.2550ドル付近に来ている200日線には慎重なようで上値抵抗として機能しているようだ。

 英中銀も年内の利下げ期待が高まっており、短期金融市場では8月か9月に利下げを開始し、年内は2回の利下げを有力視している状況。ただ、英中銀内は足並みが揃っておらず、与党・保守党が年内の総選挙を前に利下げを要請していることもあるのか、ベイリー総裁は利下げに前向きな姿勢を打ち出しているものの、利下げに消極的なタカ派委員も少なくはない。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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