プラチナ週間展望=もみ合い、レンジ上限で上値を抑えられる

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [5月13日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  4 月限  5 月 7 日〜 5 月 10 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          11,551      11,817 (10)   11,180 ( 7)   11,816         +244
  銀           132.0      143.5 (10)    132.0 ( 7)     143.2         +9.2
 プラチナ       4,780      4,934 (10)    4,675 ( 7)     4,925         +145
 パラジウム     4,800      4,800 ( 7)    4,800 ( 7)     4,800            0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         9  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6)  2,340.3    +31.7   | ドル・円    155.55      0.30 円安
  銀       ( 7)  2,836.5   +167.5   | 日経平均  38,229.11        -6.96
 プラチナ   ( 7)    990.8    +25.5   | NY原油 ( 6)  79.26        +1.15
 パラジウム ( 6)    971.30   +22.90  |* ドル・円は15時15分現在、原油は  9日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退が上値を抑える要因、とし
た。
 プラチナは予想以下の米雇用統計やドル安、金の下げ一服を受けて買い戻し主導で上
昇した。現物相場は4月12日以来の高値988.61ドルを付けた。プラチナ先限は
4月15日以来の高値4930円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は週初に4月
26日以来の高値986.47ドルを付けたのち、戻りを売られて上げ一服となった。
 4月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比17万5000人増と事前
予想の24万3000人増を下回った。31万5000人増に上方改定された前月から
予想以上に伸びが鈍化した。失業率は3.8%から3.9%に上昇した。予想以下の米
雇用統計を受けてCMEのフェドウォッチでは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ
が9月以降に開始され、年2回の利下げが実施されるとの見方が強まった。ただミネア
ポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、おそらく年内は金利が据え置かれるとの見方を示
した。ボストン地区連銀のコリンズ総裁も、インフレ率を米FRBの目標である2%に
戻すには米経済活動の減速が必要とした。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、金
利は足元で景気を抑制しているが、インフレを米金融当局の目標に戻すには「もっと時
間がかかる」かもしれないとの考えを示した。米金融当局者のタカ派発言が相次いだ。
一方、米新規失業保険申請件数は前週比2万2000件増の23万1000件だった。
事前予想の21万5000件を超え、約8カ月ぶりの高水準となり、労働市場が減速し
つつある兆候を改めて示した。今後発表される経済指標を確認したい。
【欧米のプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、8日のロンドンで17.71トン(前
週末17.72トン)、9日のニューヨークで32.39トン(同32.67トン)に
減少、8日の南アで11.43トン(同11.43トン)と変わらずとなった。またパ
ラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.53トン(同3.55トン)に減少、ニ
ューヨークで7.62トン(同7.62トン)、南アで0.36トン(同0.36ト
ン)と変わらずとなった。欧米のプラチナETF残高が減少した。戻り場面で利食い売
りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月
30日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6797枚(前週74
64枚)に縮小、パラジウムの売り越しは1万1070枚(同9158枚)に拡大し
た。
【上海プラチナの出来高減少で中国勢は買い見送り】
 4月の中国の財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は52.5で前月の
52.7から低下した。コスト圧力が背景にあるが、新規受注の伸びが加速し、景況感
も改善した。PMIは節目となる50を16カ月連続で上回った。製造業とサービス業
を合わせた総合PMIは52.7から52.8に上昇し、2023年5月以来の高水準
となった。ただ中国国家統計局発表のPMIは製造業、非製造業ともに拡大ペースが鈍
化し、先行き懸念が残っている。連休明けの上海プラチナの出来高が減少し、実需筋は
高値での買いを見送っている。欧米での買い戻しが一巡すると、レンジ上限となる
1000ドル突破は難しいとみられる。
当面の予定(イベント・経済統計)
13日 マネーストック 2024年4月(日本銀行)
14日 企業物価指数 2024年4月(日本銀行)
    英雇用統計 2024年4月(国立統計局)
    独消費者物価指数 2024年4月確報(連邦統計庁)
    独景況感指数 2024年5月(ZEW)
    米生産者物価指数 2024年4月(労働省)
15日 ●香港(仏誕節)
    ユーロ圏域内総生産 2024年1-3月期改定(EUROSTAT)
    ユーロ圏鉱工業生産 2024年3月(EUROSTAT)
    米小売売上高 2024年4月(商務省)
    米消費者物価指数 2024年4月(労働省)
    米製造業景況指数 2024年5月(ニューヨーク連銀)
    米企業在庫 2024年3月(商務省)
    対米証券投資 2024年3月(財務省)
16日 国内総生産 2024年1-3月期1次速報 (内閣府)
    米住宅着工・許可件数 2024年4月(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米輸出入物価指数 2024年4月(労働省)
    米製造業景況指数 2024年5月(フィラデルフィア連銀)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2024年4月(FRB)
17日 中国住宅価格指数 2024年4月(国家統計局)
    中国小売売上高 2024年4月(国家統計局)
    中国鉱工業生産 2024年4月(国家統計局)
    ユーロ圏消費者物価指数 2024年4月確報(EUROSTAT)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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