プラチナ週間展望=堅調、供給不足見通しでレンジ上放れ

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [5月20日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  4 月限  5 月 13 日〜 5 月 17 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          11,862    11,949 (17)   11,730 (14)     11,949        +133
  銀           142.5     150.4 (17)    141.5 (13)      150.4        +7.2
 プラチナ       4,936     5,365 (17)    4,934 (13)      5,354        +429
 パラジウム     4,800     5,000 (16)    4,800 (13)      5,000        +200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        17  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 2,417.4     +42.4   | ドル・円    155.77      0.22 円安
  銀       ( 7) 3,125.9    +275.3   | 日経平均  38,787.38       +558.27
 プラチナ   ( 7) 1,090.0     +82.8   | NY原油 ( 6)  80.06         +1.80
 パラジウム ( 6) 1,010.80    +29.10  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 17日
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【前週のレビュー】
 プラチナはレンジ上限で上値を抑えられる、とした。
 プラチナは供給不足見通しに加え、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化を受けて
急伸した。現物相場は2023年5月以来の高値1081.20ドルを付けた。プラチ
ナ先限は2008年8月以来の高値5365円を付けた。一方、パラジウムの現物相場
は週初に4月24日以来の高値1019.00ドルを付けた。
 4月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.4%上昇と前月の3.5%上昇から
伸びが鈍化した。事前予想通りとなった。インフレの伸び鈍化が示され、市場で利下げ
期待が高まった。米生産者物価指数(PPI)は前月比0.5%上昇と予想以上に伸び
が加速した。サービスと財の価格が大幅に上昇した。パウエル米連邦準備理事会(FR
B)の議長は、インフレ率は2024年を通して低下し続けるとの見通しを示した。た
だ第1四半期のインフレ率が予想を上回ったことを受け、こうした見通しに対する自分
自身の確信は以前ほど強くないと述べた。4月の米小売売上高は予想外に横ばいとなっ
た。事前予想は0.4%増だった。ガソリン価格の高騰で他の商品への支出が減少し
た。一方、米新規失業保険申請件数は前週比1万件減の22万2000件となった。事
前予想は22万件。前週の増加から減少に転じ、労働市場の底堅さが示された。CME
のフェドウォッチでは、米FRBは9月以降に利下げを開始し、年2回の利下げが実施
されるとみられている。
【ロンドンのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、15日のロンドンで18.18トン
(前週末18.10トン)に増加、16日のニューヨークで32.39トン(同
32.39トン)、15日の南アで11.43トン(同11.43トン)と変わらずと
なった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.56トン(同3.53ト
ン)、ニューヨークで8.48トン(同7.70トン)に増加、南アで0.36トン
(同0.36トン)と変わらずとなった。ロンドンのプラチナETF残高や欧米のパラ
ジウムETF残高が増加した。供給不足見通しや米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍
化を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細
報告によると、5月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万
3660枚(前週6797枚)、パラジウムの売り越しは1万1088枚(同1万
1070枚)に拡大した。
【プラチナは2年連続の供給不足見通し】
 英ジョンソン・マッセイ(JM)のレポートによると、2024年のプラチナ系貴金
属(PGM)は供給不足が続く見通しである。プラチナは18.6トン(前年16.1
トン)、パラジウムは11.1トン(同31.7トン)、ロジウムは2.0トン(同
4.0トン)の供給不足と予想された。プラチナは過去10年間で最大の供給不足とな
る見通しである。鉱山生産は2%減少すると予想された。ロシアの供給が2023年の
大量の在庫放出から通常の水準に戻り、南アの供給も減少するとみられた。一方、需要
はディーゼル車の生産減少で自動車触媒向けが減少すると予想されたが、工業用需要は
堅調で投資需要も増加するとみられている。またワールド・プラチナ・インベストメン
ト・カウンシル(WPIC)の四半期報告でも供給不足見通しが示された。第1四半期
の世界のプラチナ需要は自動車セクターの需要が堅調に成長したことに加え、宝飾品需
要が上向いたため、前四半期比で増加し、62トンとなった。一方、総供給量は鉱山供
給やリサイクル供給の低迷が続き、統計開始以来2番目に低い水準である51トンに落
ち込んだ。その結果、11トンの供給不足となった。2024年は供給が221トン、
需要は236トンとなり、15トンの供給不足が見込まれている。
当面の予定(イベント・経済統計)
20日 ●フランス、スイス(霊降臨祭の月曜日)、カナダ(ビクトリア女王誕生日)
    独生産者物価指数 2024年4月(連邦統計庁)
21日 ユーロ圏貿易収支 2024年3月(EUROSTAT)
22日 機械受注 2024年3月(内閣府)
    貿易収支 2024年4月速報(財務省)
    政策金利公表(NZ準備銀行)
    英消費者物価指数 2024年4月(国立統計局)
    米中古住宅販売統計 2024年4月(全米不動産協会)
    米FOMC議事録公表 4月30-5月1日(FRB)
23日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年5月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年5月速報(Markit)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米新築住宅販売 2024年4月(商務省)
24日 消費者物価指数 2024年4月(総務省)
    独国内総生産 2024年1-3月期確報(連邦統計庁)
    英小売売上高 2024年4月(国立統計局)
    米耐久財受注 2024年4月速報値(商務省)
    米消費者信頼感指数 2024年5月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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