プラチナ週間展望=もみ合い、米利下げ期待と中国経済の先行き懸念で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [7月22日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  6 月限  7 月 16 日〜 7 月 19 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          12,332    12,679 (17)   12,210 (16)     12,308          -36
  銀           160.0     160.0 (16)    152.0 (19)      152.0        -10.9
 プラチナ       5,115     5,195 (18)    4,905 (19)      4,925         -205
 パラジウム     4,900     4,900 (16)    4,700 (19)      4,700         -400
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        18  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8) 2,456.4     +35.7   | ドル・円    157.80      1.24 円高
  銀       ( 9) 3,022.4     -93.8   | 日経平均  40,063.79     -1126.89
 プラチナ   (10)   986.0     -27.3   | NY原油 ( 8)  82.82        +0.61
 パラジウム ( 9)   929.20    -43.10  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 18日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しが下支え、とした。
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が支援要因だが、中国経済の先
行き懸念に上値を抑えられた。現物相場は5日以来の高値1027.40ドルで上げ一
服となり、1000ドルの節目を割り込んだ。プラチナ先限は6月19日以来の安値
4940円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は6月27日以来の安値
920.50ドルを付けた。
 7月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス6.6と8カ月連続のマイナスと
なった。事前予想はマイナス8.0、前月はマイナス6.0。パウエル米連邦準備理事
会(FRB)議長は第2四半期の毎月のインフレ指標は、物価上昇ペースが米FRBの
目標に持続可能な形で戻りつつあるという「確信をいくらか強める」ものだったと述
べ、利下げ開始がそう遠くない可能性を示唆した。6月の米小売売上高は前月比横ばい
と事前予想の0.3%減を上回った。前月分は0.3%増と前回発表の0.1%増から
上方改定された。個人消費の底堅さが示されたが、米FRBの利下げ期待に変わりはな
かった。また米金融当局者が相次いで利下げを示唆した。リッチモンド地区連銀のバー
キン総裁は、ディスインフレが経済全体に広がりつつあるようで「非常に勇気づけられ
る」とし、「この傾向が続くことを期待したい」と述べた。ニューヨーク連銀のウィリ
アムズ総裁は、数カ月内に利下げが妥当となる可能性があると言及した。ウォラー米F
RB理事は、先週発表された6月の米消費者物価指数(CPI)が前月比で約4年ぶり
に下落したことを受け、2カ月連続で「非常に良いニュース」が得られたと評価した。
CMEのフェドウォッチで、9月の利下げ確率は93.0%(前週85.1%)に上昇
した。一方、欧州中央銀行(ECB)理事会で金利据え置きが決定され、ラガルドEC
B総裁が9月の理事会についてワイドオープン(何も決まっていない)とすると、ドル
高や米国債の利回り上昇を受けて金に利食い売りが出た。また7月のフィラデルフィア
地区連銀製造業業況指数は13.9と前月の1.3から上昇した。事前予想の2.9も
上回り、4月以来の高水準となったこともドル高要因になった。
【ロンドンのプラチナ・パラジウムETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、17日のロンドンで24.63トン
(前週末24.13トン)に増加、18日のニューヨークで31.64トン(同
31.64トン)、17日の南アで11.51トン(同11.51トン)と変わらずと
なった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.11トン(同3.79ト
ン)に増加、ニューヨークで9.05トン(同9.83トン)に減少、南アで0.33
トン(同0.33トン)と変わらずとなった。ロンドンのプラチナ・パラジウムETF
残高が増加した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を受けて押し目買いが入っ
た。ただニューヨークのパラジウムETF残高が減少した。一方、米商品先物取引委員
会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月9日時点のニューヨーク・プラチナの大
口投機家の買い越しは2万2666枚(前週2万3956枚)、パラジウムの売り越し
は9557枚(同1万0685枚)に縮小した。
【中国経済の先行き懸念が残る】
 第2四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%増と事前予想の
5.1%増を下回った。第1四半期の5.3%増)から鈍化し、2023年第1四半期
以来の低成長となった。長引く不動産不況と雇用不安が内需を圧迫した。6月の小売売
上高は前年比2%増と2022年以来の低水準となった。一方、中国共産党の第20期
中央委員会第3回全体会議(3中全会)で、国内産業を現代化し、内需拡大や債務・不
動産リスクの抑制を図るほか、金融・財政改革も推進する方針を表明した。アナリスト
によると、今回の結果は、政策決定や中国が追求する経済成長モデルの転換ではなく、
継続性を示していると指摘した。
当面の予定(イベント・経済統計)
22日 香港消費者物価指数 2024年6月(香港統計局)
23日 金融政策決定公表(トルコ中央銀行)
    米中古住宅販売統計 2024年6月(全米不動産協会)
24日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年7月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年7月速報(Markit)
    米卸売在庫 2024年6月速報値(商務省)
    米新築住宅販売 2024年6月(商務省)
    政策金利発表(カナダ銀行)
25日 独景況感指数 2024年7月(ifo)
    米国内総生産 2024年4-6月期速報値(商務省)
    米耐久財受注 2024年6月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
26日 米個人所得・支出 2024年6月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2024年7月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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