貴金属4品週間見通し=NY金は米雇用情勢を睨んで高値圏を維持か

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金12月限は10月30日に2801.8ドルに達し、指標限月としての最高値
を更新した。翌31日に急落に転じ終値ベースで2750ドルを割り込んだ。
 急激な上昇となった背景は米雇用情勢悪化の可能性だ。米労働省は9月雇用動態調査
(JOLTS)を発表したが今回の報告で求人件数の大幅な減少が明らかとなったう
え、自発的な離職率も低下するなど米雇用情勢が悪化傾向にある可能性が示された。
 これを受けて高金利環境が長引けば米雇用情勢のさらなる悪化を免れ得ないことが懸
念されると同時に、雇用の最大化を目指す米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観
測が高まったこと金市場の買い支援要因となった。
 ただ、同時に米国の個人消費意欲は強く、インフレ率が下げ渋る可能性もくすぶって
いる。
 11月に開催される公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの可能性をめぐり思
惑が交錯するなかNY金は高下を続けているが、中東情勢の緊迫が和らいだとはいえ、
米雇用情勢悪化に対する警戒感は引き続き金価格を下支えする要因になってきそうだ。
注目されるのは1日に発表される米労働省による9月の米雇用統計だ。今回の雇用統
計にはハリケーンやストの影響が反映されると見られるため、米雇用情勢の根本的な現
状をどの程度、示しているのかに関して疑問が残る点はあるものの、雇用情勢の悪化に
対する警戒感が膨らんでいる現状では悪化傾向が示されるようであれば、50ドル程度
と大きく値を落とした後でもあり、反発が見られる可能性がある。
 また、10月31日の取引で50ドル程度の大幅下落となったのは、ファンド筋を含
む大口投機家の買い越し数が10月22日時点で29万6204枚まで膨らむなど、こ
れまで買い越し数が増加していた中で最高値を更新したため、利益確定の動きが活発化
した可能性もある。
 米大統領選、11月FOMCと重要イベントが続くなかで思惑から高下する場面が見
られたとしても、雇用情勢が大きく影響を与えているだけに、1日発表の米労働省雇用
統計を確認する必要はあるが、雇用情勢が今後も軟化傾向を見せる可能性が警戒される
なか、NY金は底意の強い足取りを維持すると見られる。
<銀>
 NY銀12月限は金の軟調な足取りに追随して続落し31日の取引では3300セン
トを割り込んでいる。
 金に連動して値位置を切り上げたものの、安全資産としての役割が乏しいなか金が大
きく値を落としたため続落となり金に比較して地合いの弱さが露呈した形となった。
 NY金は底意の強い足取りが想定されるため、NY銀のここから先の下値も限られる
ことになりそうだが、金に比して上値の重い足取りとなりそう。12月限は目先は
3300セントを上値抵抗線にしての高下となるか。
<白金>
 NY白金1月限は29日にかけて上値追いとなり一時は1063.40ドルまで浮上
していたものの、その後30,31日共に大きく値を落とし10月17日から29日に
かけての上げ幅を一気に相殺した。
 白金独自の手掛かりに乏しいなかNY金の強い足取りに連動して上昇したが、買い支
援要因が乏しく崩れた形となっている。
 チャート面の悪さもあって上値を抑制される展開が続くと予想される。
<パラジウム>
 NYパラジウム12月限も他貴金属と同様に金に連動安となっている。ただ、31日
時点の終値は1100ドル台を保ちNY白金とは100ドルを上回る上ザヤを維持。
 独自の材料に乏しいなか白金との値開きが意識され、1100ドル前後で推移するこ
とになりそう。
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