貴金属4品週間見通し=NY金は弱気な米経済指標と逃避買い需要で高止まり

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金4月限は1月24日の取引で2794.8ドルまで値を切り上げた後に値を落
とし、2780ドルを上値抵抗線にしての高下が続いていたが、30日の取引で急伸し
一時2853.2ドルの高値まで上昇。終値ベースでも2845.2ドルを記録した。
 1月開催の米公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが決定されたが、そ
の一方で欧州中央銀行(ECB)による利下げに加え、24年第4四半期の米穀の実質
国内総生産(GDP)速報値の前期比が、第3四半期に記録した3.1%増を下回る
2.3%増となったことで米景気減速に対する警戒感と、これを受けた今後の追加利下
げ期待およびドル売りの動きが強気材料となった。
 また、トランプ新政権の関税政策見通し不透明感も安全資産を求める動きを刺激して
いるとみられる。トランプ政権はコロンビアからの輸入品に対し緊急の25%関税の賦
課を発表したものの、コロンビア政府が移民送還で合意したとして関税賦課を撤回して
いる。トランプ大統領は今後も関税を対外政策の手段として用いていくと考えられる。
 直近では2月1日からカナダ、メキシコ、中国からの輸入品に対する関税賦課の可能
性についての言及があるが関税の賦課を取引の手段として活用した場合には対外摩擦が
激化することが懸念される。
 また、実際に関税が賦課されるようであれば中国経済への影響が警戒される一方、米
国内ではインフレ再燃懸念が高まることが予想される。
 これまでのところ、12月の米生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CP
I)を受けて、米インフレ緩和を見込む向きが強まっているうえ、GDPの弱気な内容
は米追加利下げを期待させるものとなり、NY金市場での買い支援要因となっている。
 ただ、その一方でインフレ懸念の強まりは追加利下げ観測を後退させ、NY金市場に
とっての重石になり得ると同時に、ドル建て資産を防衛するための金需要が高まる可能
性もある。
 引き続き金に対する安全資産を求める動きが意識される状況であり4月限は2800
ドル台を維持する高止まりが想定される。
<銀>
 NY銀3月限は3180セント付近を上値抵抗線にしてのもちあいが続いていたが、
NY金の大幅高を受けて30日に急伸し、昨年12月12日以来の高水準となる
3281.5セントまでで浮上している。
 米国のインフレ緩和傾向に加え、弱気な24年第4四半期の米国内総生産(GDP)
が発表されたことを受け、ドル売り傾向や米追加利下げの可能性が意識されている。
 また、金に比べて出遅れ感があったことも大幅高を促す要因になったと見られるが、
金とは異なり安全資産としての役割が乏しいだけに今後の上げ余地は限られそう。
 NY金の高止まりが想定されるだけに底意は強いと見られるが、大幅高の反動安とな
る可能性がある点も留意しておきたい。
<白金>
 NY白金4月限は30日に急騰して1029.5ドルの高値に達した。終値ベースで
も1028.5ドルを記録しており、それまで上値抵抗線としていた980ドルを大き
く上抜いている。
 きっかけとなったのは米国の24年第4四半期の国内総生産(GDP)の弱気な内容
で、これまでのインフレ傾向に米国の弱気な経済成長が示されたことで今後の追加利下
げ期待が高まったことが急伸に繋がっている。
 ただ、これまでNY金に比べ上値の重い足取りが続いていた反動からの急騰とも見ら
れるだけに、騰勢を継続できるかという点には不透明感が強い。目先は昨年10月30
日の終値1030.8ドルが上値目標か。これを突破すれば1040ドル台が次の目標
となってきそう。
<パラジウム>
 NYパラジウム3月限は他貴金属の堅調な足取りに追随高となっているが1020ド
ル台前半での推移であり、急騰となった白金との値開きが再び逆転している。
 独自の材料に乏しいなか値開き修正の動きが続きそうで、目先は1月24日に付けた
高値1034ドルを上値目標にしての底堅い足取りとなるか。
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