株価指数先物 【週間展望】―一進一退で-1σと+1σによるレンジ推移を想定

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、トランプ政権の関税政策の影響を警戒しつつ、日米の金利動向や為替を睨んでの相場展開になりそうだ。先週は2月10日につけた3万8350円を安値にリバウンドをみせ、13日には3万9600円まで買われた。これにより3日の急落分(1030円安)をほぼ埋める形だった。3万9000円辺りで推移していた75日移動平均線を巡る攻防からのリバウンドで、上値を抑えられていた25日線を突破し、ボリンジャーバンドの+1σ水準を捉えた。週末は+1σに上値を抑えられる形でロング解消が優勢となり、25日線水準で終える形だった。今週は3万9000円近辺で推移する25日、75日線水準で底堅さをみせられるかが注目される。

 14日の米国市場はNYダウ、S&P500が下落する一方で、ナスダックは上昇した。トランプ大統領は前日に、貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」の導入を指示する覚書に署名した。国ごとに調査したうえで個別に対応する方針であり、市場が警戒した即時発動が回避されたことで、貿易摩擦への過度な懸念が後退した。

 一方、1月の米小売売上高は前月比0.9%減となり、市場予想以上に減少した。カリフォルニア州の山火事や昨年の年末商戦の反動の影響とみられているが、この結果を受けて米長期金利が低下し、為替市場ではドル円が一時1ドル=152円台前半までドルが売られる場面もあった。NYダウ構成銘柄では、プロクター・アンド・ギャンブル、ユナイテッドヘルス・グループ、トラベラーズ、メルク、アムジェンといった景気敏感株や消費関連株などが売られた。

 半面、エヌビディアやシスコシステムズ、アップル、IBMが買われた。そのほか、メタ・プラットフォームズが20営業日続伸したほか、ネットフリックスが買われ、ナスダック指数は3日続伸し1月23日以来の2万台を回復している。半導体SOX指数も3日続伸しており、日経平均型の下支えとなろう。

 日経225先物は25日、75日線での攻防が意識され、底堅さがみられる局面では+1σ水準を試す可能性がある。ただし、バンドが下向きで推移しているため、バンドに上値を抑えられる状況が目立ってくるようだと、ショートが入りやすい需給状況になりそうだ。2月のSQ値(3万9432.64円)接近では戻り待ち狙いのショートに向かいやすい。

 また、3万9000円処を下回ってくるようだと、-1σ(3万8660円)のほか200日線(3万8520円)が射程に入ってくる。-1σと+1σによるレンジで、オプション権利行使価格の3万8500円から3万9500円での推移が想定されよう。もっとも、これまで200日線水準での底堅さがみられているため、同水準に接近する局面では押し目狙いのロング対応に向かわせるとみておきたい。週明け17日の米国はプレジデントデーで祝日となる。海外勢のフローが限られるなか、下へのバイアスが強まる局面ではロングのタイミングになりそうだ。

 また、トランプ大統領の「相互関税」については貿易相手国ごとに判断されるため、その審査にはかなりの時間を要するとみられている。相互関税導入案は4月上旬までに準備し、米商務長官と通商代表部(USTR)は調査結果を踏まえ、報告書を統領に提出することになる。詳細が明らかになるまではショートも仕掛けづらくさせる。トランプ大統領は先週、ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、ロシアとウクライナの戦闘の終結に向けて交渉を始めることで合意した。楽観視はできないものの、地政学リスクに対する懸念が和らいでいることも、ショートに傾けにくいだろう。

 一方、足もとで日銀の早期利上げ観測が警戒されているが、日銀は次回3月の金融政策決定会合からレギュラー出席者を増やすと報じられている。金融機構局担当の幹部らを毎回出席させるようであり、大規模な保有ETF(上場投資信託)の放出を巡って思惑が高まる可能性がある。金融システム正常化に向けた動きの一環ではあるが、積極的なロングを手控えさせる一因として関連する報道には注意しておきたい。

 7日の米VIX指数は14.77(13日は15.10)に低下し、1月24日以来の15.00割れとなった。先週は25日線(16.27)、200日線(16.27)、75日線(16.30)での攻防が継続し、12日には一時17.18まで上昇する場面もあったが、その後は各移動平均線が抵抗線として機能しており、リスク選好に向かわせよう。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で14.20倍に低下した。週半ばには14.29倍まで上昇する場面もみられたが、同水準に位置する25日線(14.28倍)に上値を抑えられる形となり、週末には再び200日線(14.22倍)を割り込んでいる。ただし、週末要因に伴うリバランスの動きと考えられ、200日線での底堅さがみられてくるようだと、NTロングに向かわせる可能性はありそうだ。

 2月第1週(2月3日-7日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は6352億円(1月第4週は4865億円の売り越し)だった。なお、現物は2657億円の売り越し(同3133億円の売り越し)と2週連続の売り越しであり、先物は3694億円の売り越し(同1732億円の売り越し)と2週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で6039億円の買い越しと2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で200億円の買い越しとなり、3週ぶりの買い越し。

 主要スケジュールでは、17日に10-12月期GDP、18日に米国2月ニューヨーク連銀製造業景気指数、19日に12月機械受注、1月貿易収支、中国1月70都市新築住宅価格動向、米国1月住宅着工件数、FOMC(1月28日~29日開催分)議事要旨、20日に米国2月フィラデルフィア連銀景況指数、米国1月コンファレンス・ボード景気先行指数、21日に1月全国消費者物価指数、米国2月製造業PMIなどが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
03月限 日経225 39863.92  TOPIX  2716.15
04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75
06月限 日経225 38535.35  TOPIX  2714.56
07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 02月14日  39420  39590  39110  39110  -330
25/03 02月13日  39010  39600  38760  39440  +440
25/03 02月12日  38820  39130  38760  39000  +240
25/03 02月10日  38870  38940  38350  38760  -80

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 02月14日  2767.0  2786.0  2753.5  2753.5  -15.5
25/03 02月13日  2739.5  2773.5  2726.5  2769.0  +29.0
25/03 02月12日  2733.5  2751.0  2720.5  2740.0  +10.5
25/03 02月10日  2741.5  2748.5  2714.0  2729.5  -12.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
02月14日(03月限) 39100  -10
02月13日(03月限) 39480  +40
02月12日(03月限) 39165  +165
02月11日(03月限) 39070  +310
02月10日(03月限) 38925  +165
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
02月7日    1709億円  +60億円 1兆9916億円  -1714億円
01月31日    1649億円  +111億円 2兆1630億円  +1062億円
01月24日    1538億円  +35億円 2兆0567億円  +2743億円
01月17日    1502億円  -127億円 1兆7824億円  -5615億円
01月10日    1630億円  -446億円 2兆3440億円  -1863億円
12月30日    2076億円  -18億円 2兆5304億円  +1116億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
02月12日    5141万株   -166万株  8億4278万株   +154万株
02月10日    5307万株    +64万株  8億4123万株   +1231万株
02月07日    5243万株   -520万株  8億2891万株   -2744万株
02月06日    5763万株    -12万株  8億5636万株   +2221万株
02月05日    5775万株   +182万株  8億3415万株   -546万株
02月04日    5592万株   +122万株  8億3961万株   -3214万株
02月03日    5470万株   +452万株  8億7175万株   -1404万株
01月31日    5017万株   +179万株  8億8579万株   +58万株
01月30日    4838万株   +632万株  8億8521万株   -68万株
01月29日    4205万株   -425万株  8億8589万株   +1277万株
01月28日    4631万株   -331万株  8億7311万株   +28万株
01月27日    4962万株   +254万株  8億7283万株   +695万株
01月24日    4708万株   -440万株  8億6588万株   +1900万株
01月23日    5148万株    +94万株  8億4687万株   +5358万株
01月22日    5054万株    +68万株  7億9328万株   +2446万株
01月21日    4985万株   +156万株  7億6882万株   +939万株
01月20日    4829万株    +75万株  7億5942万株   -787万株

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