●企業業績 ○2024年第4四半期の利益は予想よりも好調で、四半期での過去最高を更新する見込みです。2025年の予想は、4四半期すべてでこれまでの水準を維持しており、2025年通年で過去最高の更新が予想されています。 ⇒S&P500指数 の時価総額の50.5%に相当する179銘柄が2024年第4四半期の決算発表を終え、そのうちの139銘柄(歴史的に高水準の77.7%)で営業利益が予想を上回り、177銘柄中111銘柄(62.7%)で売上高が予想を上回りました。 ⇒2024年第4四半期の営業利益は、現時点の過去最高である2024年第3四半期の記録を更新する見通しで、前期比3.9%増、前年同期(不況だった2023年第4四半期)比では14.0%増が見込まれています。 ⇒売上高は前期比で0.9%増となり、現在の過去最高である2024年第3四半期の記録を更新する見通しで、前年同期比では3.2%増となる見通しです。 ⇒2024年第4四半期の営業利益率は、2024年第3四半期の11.80%と2023年第4四半期の11.00%を上回る12.15%になると予想されます(1993年以降の平均は8.49%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。 ⇒2024年第4四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は13.7%となっています。この割合は、2024年第3四半期は13.6%、2023年第4四半期は12.6%でした。 ○2024年通年の利益は前年比9.4%増が見込まれており、この予想に基づく2024年の予想株価収益率(PER)は25.9倍となっています。 ○2025年通年の利益は前年比15.7%増が見込まれており、予想PERは22.3倍となっています。 ●個別銘柄 ○航空機メーカーのボーイングは、最近のストライキと労働協約を理由に、777x型機と767型機のエアラインプログラムに関して11億ドルの費用を計上し、2024年第4四半期に40億ドルの損失を計上する見通しであることを事前に発表しました。 ●配当金 ○2025年1月の配当支払額は前年同月比12.5%増となりました。12月は同32.0%増、11月は同11.0%減でした。2024年通年の配当支払額は前年比6.44%増でした(2023年は同5.05%増、2022年は同10.81%増)。 ⇒1月の配当支払金は前年同月の1株当たり4.28ドルから4.82ドルに増加しました。 ⇒2025年1月までの12ヵ月間の配当支払金は、1株当たり75.37ドルとなり、過去最高を更新しました。2024年1月までの12ヵ月間の配当支払金は70.60ドルでした。 ⇒2024年通年の配当支払金も、前年の1株当たり70.30ドルから74.83ドルに増加し、過去最高を更新しました。 ○2025年1月は、増配が36件、配当開始が0件、減配が0件で、配当停止は1件でした。2024年1月は、増配が34件、配当開始が0件で、減配が1件、配当停止は0件でした。 ⇒2024年は、増配が342件、配当開始が8件、減配が15件、配当停止が2件でした。 ⇒2023年は、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件でした。 ⇒2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件、配当停止が0件でした。 ○1月の増配率の中央値は、2024年12月の5.78%から5.73%に低下しました。2024年通年では6.25%でした。1月の平均増配率は12月の9.22%から7.97%に低下しました。2024年通年では8.31%(いずれも2倍以上になった銘柄は除く)でした。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。 ○2024年通年の配当支払い額は前年比6.44%増加しました。これにより、S&P500指数の株主への実際の年間の現金配当は15年連続で増加し、13年連続で過去最高を更新しました。 ⇒2025年に関しては、(これまでに)2024年の173億ドル相当の配当開始(アルファベット 、ブッキング・ホールディングス 、メタ・プラットフォームズ、セールスフォース・ドット・コム )と、68億ドル相当の配当停止(インテル を含む)を考慮し、更にS&P500指数構成銘柄の各年の増配の傾向(過去20年間、各年で平均58.5%の企業が増配、対して3.3%の企業が減配)、足元と今後も予想される過去最高益、並びに金利低下の予想と、力強い雇用と基調的な経済成長を踏まえ、2025年の配当支払い額も過去最高を更新し、実際の1株当たり現金配当額は前年比8%程度増加すると予想します(2024年は前年比6.44%増、2023年は同5.05%増、2022年は同10.80%増)。 ●インデックス・レビュー ◇S&P500指数 1月の相場は一筋縄ではいかないと考えられていましたが、ふたを開けてみれば株価は上昇して月を終えました(2024年は12ヵ月のうち9ヵ月、また2023年は12ヵ月のうち8ヵ月で月間騰落率がプラスでした)。不透明感の強まりや深刻な状況悪化、また不安定な地合いなども見られましたが、こうした悪材料を織り込みながら相場は上昇し(1月は2.70%上昇)、月間での終値の最高値更新も続きました。S&P500指数は過去13ヵ月のうち11ヵ月で史上最高値を更新しました(2025年1月は最高値を一度更新すると同時に、終値でも史上初めて6100を突破しました。昨年12月は最高値こそ4回更新したものの、月間騰落率は2.50%のマイナスとなりました)。業績発表では、利益は予想を上回っており、2024年第4四半期は過去最高を更新する見通しで(2025年も)、第4四半期は(高い利益率と共に)売上高も過去最高の更新が予想されています。 S&P500指数は1月に2.70%と大幅に上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス2.78%)。12月は2.50%の大幅下落(同マイナス2.38%)、11月は5.73%の大幅上昇(同プラス5.87%)でした。2025年1月までの3ヵ月間のS&P500指数の騰落率は5.87%の上昇(同プラス6.22%)となり、過去12ヵ月間では24.66%の上昇(同26.38%)となりました。2024年通年では23.31%上昇(同プラス25.02%)しました。2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。 1月は11セクター中10セクターが上昇しました。12月は11セクター中3セクターが上昇、11月は全11セクターが上昇しました。1月のパフォーマンスが最高となったのはコミュニケーションサービスで、8.98%上昇しました(2023年末比では51.35%上昇、2022年末比では133.63%上昇)。パフォーマンスが最低だったのは情報技術で、2.93%下落しました(同31.71%上昇、同105.98%上昇)。 1月は値上がり銘柄数が増加し、値下がり柄数を大幅に上回りました。1月の値上がり銘柄数は355銘柄(平均上昇率は6.63%)と、12月の54銘柄(同5.19%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は79銘柄(同13.84%)と、12月の10銘柄(同16.72%)から増加し、2銘柄(12月は1銘柄)が25%以上上昇しました。一方、1月の値下がり銘柄数は148銘柄(平均下落率は4.22%)と、12月の449銘柄(同7.86%)から減少しました。1月の10%以上下落した銘柄数は15銘柄(同14.73%)と12月の120銘柄(同13.64%)から減少し、1銘柄が25%以上下落しました(12月は2銘柄)。2024年通年では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数が332銘柄(平均上昇率は28.17%)、値下がり銘柄数が169銘柄(平均下落率は16.07%)となりました。 マグニフィセント・セブンに関して言えば、S&P500指数のトータルリターンの53.1%を占め、市場をアウトパフォームした2024年から一転(2024年の25.02%のトータルリターンはこれら7銘柄を除くと11.75%に低下。2023年の26.29%のトータルリターンもこれら7銘柄を除くと9.94%に低下)、1月は(全体として)騰落率がマイナスとなりました。S&P500指数は1月に2.70%上昇しましたが、これら7銘柄を除くと2.90%の上昇となります。 1月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1.03%と、12月の0.91%から上昇(11月は0.83%)しました。2024年通年は0.91%で、2023年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.41%)。1月の出来高は、12月に前月比2%減少した後に、同8%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では14%増加となりました。1月までの過去12ヵ月間では前年同期比1%減少しました。2024年通年では前年比2%減でした。 1月は1%以上変動した日数は20営業日中5日(上昇が2日、下落が3日)で、市場は2%以上の変動は記録しませんでした。12月は1%以上変動した日数は21営業日中5日(上昇が2日、下落が3日)、2%以上変動した日は1日(下落)でした。2024年通年では、1%以上変動した日数は50日(上昇が31日、下落が19日)で、2%以上変動した日数は7日(上昇が3日、下落が4日)でした。1月は20営業日中9日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日はありませんでした。対して12月は1%以上の変動が20営業日中7日で、2%以上変動した日は2日でした。2024年通年では1%以上の変動が83日、2%以上の変動が11日でした。 「1月の相場がその年の相場を決める」という1月のバロメーターについては、1929年以降70.8%の確率で当てはまります(2024年も1月が1.59%の上昇、年間リターンが23.31%とその通りとなりました)。初日の市場がその年の市場を占うかどうかについては、ほとんどコイントスのようなもので49%の確率になっています。2025年の初日は0.22%下落しました。この指標は2021~2024年は当てはまりませんでした。 [執筆者] ハワード・シルバーブラット S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス シニア・インデックス・アナリスト ※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。 [免責事項] 著作権(C) 2025年 S&Pグローバルの一部門であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC。不許複製、Standard & Poor's、S&P、S&P 500、は、S&Pの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の登録商標です。LATIXX、MEXICO TITANS及びSPCIは、S&Pグローバル一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の商標です。「ダウ・ジョーンズ」は、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLC(以下「ダウ・ジョーンズ」)の登録商標です。商標は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCにライセンス供与されています。本資料の全体または一部の再配布、複製、そして(または)複写を書面による承諾なしに行うことを禁じます。 株探ニュース
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