今週の日経225先物は、下へのバイアスが強まる展開を想定したセンチメントに傾きやすくなりそうだ。21日の米国市場では主要な株価指数が大幅に下落。NYダウは748ドル安と急落し、2日間でおよそ1200ドル下げた。また、S&P500指数の下落率は1.7%、ナスダックは2.2%となり、半導体SOX指数は3%を超えた。 2月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は64.7と前月の71.7から低下し、市場予想を下回った。一方で1年先の期待インフレ率は4.3%(前月は3.3%)となり、2023年11月以来の高水準だった。2月の米購買担当者景気指数(PMI)は総合PMIが50.4と1年5カ月ぶりの低水準となり、サービス業PMIは49.9と約2年ぶりに景況感の分かれ目となる50を割り込んでいる。 これら経済指標の予想以上の悪化が嫌気された形だ。加えて、トランプ政権の関税政策を巡る不透明感やインフレ圧力への懸念、トランプ大統領による新たな政策発表も警戒されてリスク回避の動きが強まった。 日経225先物のナイトセッションは大阪比20円高の3万8810円で始まり、直後につけた3万8870円を高値に3万8760円~3万8860円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを下抜け、3万8500円水準で攻防をみせる場面もあった。ただし、終盤にかけて下へのバイアスが強まると、一時3万8050円まで下落幅を広げた。祝日取引では11時時点で3万8100円~3万8300円辺りでの攻防をみせている。 これにより、日経225先物は1月17日につけた直近安値(3万8070円)を下回り、昨年12月2日以来の水準まで下げてきた。ボリンジャーバンドの-2σ(3万8280円)を割り込み、-3σ(3万7860円)に接近する場面をみせている。これまで-2σを割り込む場面では、いったんはボトムを形成してきたため、週初は売り一巡後のカバーを狙う動きに向かう可能性もある。 ただし、米国市場が一段の調整をみせてくると、下へのバイアスが強まり、ヘッジ対応のショートが膨れる展開が警戒されやすい。ヘッジの動きが新たなヘッジにつながるなか、押し目狙いのロングは入りにくいだろう。一目均衡表では先週の下げで「雲」下限を下抜き、遅行スパンは実線を割り込む形となって、下方シグナルを発している。 また、週間形状では-2σ(3万7980円)に接近しており、節目の3万8000円辺りで底固めをみせてくるかが注目される。同水準を割り込むようだと、-3σ(3万7370円)が射程に入り、昨年8月5日の急落局面でつけた3万0480円がターゲットとして意識されてくる。パラボリックではSAR値にタッチしたことで、陰転シグナルを灯した。 シグナルが悪化傾向をみせるなか、トランプ米大統領は21日、アルファベットやメタ・プラットフォームズなど、米国の大手テック企業にデジタルサービス税を課す諸国に対し関税による対抗措置を検討する大統領覚書などに署名した。日本への影響は軽微とみられるもが、他国のIT投資抑制につながるようなことになれば、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷となる可能性があろう。 日経225先物は下へのバイアスの強まりが警戒される一方で、リバウンド局面で-2σ水準で攻防をみせてくるようなら、200日移動平均線(3万8700円)が射程に入ってくる。そのため、オプション権利行使価格の3万7875円から3万8750円処と広めのレンジを想定しておきたい。 トランプ関税によるインフレリスクが警戒されなか、週末28日には1月の米個人消費支出(PCE)が発表される。米連邦準備理事会(FRB)が物価動向をみるうえで最重要とする指標であり、変動の激しい食品とエネルギーコストを除いたPCEコア価格指数は鈍化するとみられている。ただし、当局の2%目標を上回る見込みであり、利下げは慎重にさせそうだ。また、26日にエヌビディア の決算発表が予定されており、ハイテク株に対する影響が警戒されやすいだろう。 21日の米VIX指数は18.21(20日は15.66)に上昇し18.00を上回った。先週は15.50辺りを挟んでの推移が続き、75日線(15.98)、25日線(16.00)、200日線(16.35)が抵抗線として機能していたが、週末の上昇で一気にこれらを上抜いた。依然としてボトム圏での推移ではあるが、再び20.00を捉えてくる局面では、リスク回避に向かわせよう。 そのほか、中国・武漢で新種のコウモリコロナウイルスが発見され、動物から人に感染する危険があると各メディアが伝えていることも、ポジション圧縮を誘う一因となる可能性がある。 なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で14.18倍(20日は14.14倍)に上昇した。一時14.10倍に低下する場面もみられたが、足もとでのレンジ(14.10~14.22倍)の下限に到達したことで、NTショートを巻き戻す動きに向かわせたようだ。ボトム圏からのリバウンドで200日線が位置するレンジ上限が意識されやすいが、スプレッド狙いのトレードは限られそうである。 2月第2週(2月10日-14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では3週ぶりの買い越しであり、買い越し額は1884億円(2月第1週は6352億円の売り越し)だった。なお、現物は964億円の買い越し(同2657億円の売り越し)と3週ぶりの買い越しであり、先物は920億円の買い越し(同3694億円の売り越し)と3週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で646億円の売り越しと3週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で3835億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越し。 主要スケジュールでは、25日に1月企業向けサービス価格指数、米国12月S&Pケースシラー住宅価格、米国2月コンファレンスボード消費者信頼感指数、26日に12月景気動向指数確報値、米国1月新築住宅販売件数、G20財務相・中央銀行総裁会議(~27日)、27日に米国10-12月期GDP確報値、米国1月耐久財受注、28日に1月鉱工業生産、米国1月個人所得、米国1月個人消費支出などが予定されている。 ――プレイバック・マーケット―― ●SQ値 03月限 日経225 39863.92 TOPIX 2716.15 04月限 日経225 39820.59 TOPIX 2766.89 05月限 日経225 38509.47 TOPIX 2728.75 06月限 日経225 38535.35 TOPIX 2714.56 07月限 日経225 41531.26 TOPIX 2893.54 08月限 日経225 35661.68 TOPIX 2510.68 09月限 日経225 36906.92 TOPIX 2585.41 10月限 日経225 39701.93 TOPIX 2721.72 11月限 日経225 39901.35 TOPIX 2765.26 12月限 日経225 39434.85 TOPIX 2738.68 01月限 日経225 39343.19 TOPIX 2726.70 02月限 日経225 39432.64 TOPIX 2775.06 ◆日経225先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/03 02月21日 38730 38810 38380 38790 +80 25/03 02月20日 39180 39180 38450 38710 -460 25/03 02月19日 39330 39350 38990 39170 -120 25/03 02月18日 39170 39500 39130 39290 +90 25/03 02月17日 39160 39230 38990 39200 +90 ◇TOPIX先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/03 02月21日 2738.5 2742.0 2716.5 2735.0 -1.5 25/03 02月20日 2768.5 2768.5 2721.5 2736.5 -31.0 25/03 02月19日 2777.0 2783.0 2757.5 2767.5 -9.0 25/03 02月18日 2769.5 2791.0 2766.0 2776.5 +6.5 25/03 02月17日 2758.5 2773.5 2753.0 2770.0 +16.5 ●シカゴ日経平均 円建て 清算値 前日大阪比 02月21日(03月限) 38130 -660 02月20日(03月限) 38555 -155 02月19日(03月限) 38985 -185 02月18日(03月限) 39300 +10 ※前日比は大阪取引所終値比 □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額) 売り 前週末比 買い 前週末比 02月14日 1616億円 -93億円 2兆0757億円 +841億円 02月7日 1709億円 +60億円 1兆9916億円 -1714億円 01月31日 1649億円 +111億円 2兆1630億円 +1062億円 01月24日 1538億円 +35億円 2兆0567億円 +2743億円 01月17日 1502億円 -127億円 1兆7824億円 -5615億円 01月10日 1630億円 -446億円 2兆3440億円 -1863億円 □裁定取引に係る現物ポジション(株数) 売り 前日比 買い 前日比 02月19日 4959万株 +16万株 8億6968万株 -223万株 02月18日 4942万株 -2万株 8億7191万株 +697万株 02月17日 4944万株 -29万株 8億6494万株 +2264万株 02月14日 4974万株 -161万株 8億4229万株 -1181万株 02月13日 5135万株 -5万株 8億5411万株 +1132万株 02月12日 5141万株 -166万株 8億4278万株 +154万株 02月10日 5307万株 +64万株 8億4123万株 +1231万株 02月07日 5243万株 -520万株 8億2891万株 -2744万株 02月06日 5763万株 -12万株 8億5636万株 +2221万株 02月05日 5775万株 +182万株 8億3415万株 -546万株 02月04日 5592万株 +122万株 8億3961万株 -3214万株 02月03日 5470万株 +452万株 8億7175万株 -1404万株 01月31日 5017万株 +179万株 8億8579万株 +58万株 01月30日 4838万株 +632万株 8億8521万株 -68万株 01月29日 4205万株 -425万株 8億8589万株 +1277万株 01月28日 4631万株 -331万株 8億7311万株 +28万株 01月27日 4962万株 +254万株 8億7283万株 +695万株 株探ニュース
有望株(銘柄)の発掘・選択をサポートするサイトです。株価 ニュース 決算 テーマや企業情報などが満載。 株価変動要因となる情報や株式の売買タイミングに役立つ情報、迅速な投資判断ができる仕組みを提供します。