ドル円、上に往って来いの展開 米CPIは予想下回るもFRBに変化なし=NY為替概況 きょうのNY為替市場でドル円は上に往って来いの展開。この日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、インフレの落ち着きを示したことで、ドル売りが強まり、ドル円も一時148円台前半まで急速に下落した。しかし、直ぐに切り返し、149円台まで上昇した。ただ、後半になると再び戻り売りに押され148円台前半に再び下落している。 2月の米消費者物価指数(CPI)は、裁量消費に対する消費者の需要減退を示し、他のデータでも兆候が出ている個人消費の後退と呼応していた。しかし、関税の影響を強く受ける特定の商品(自動車、家具、衣料品)についてはディスインフレは進んでいない。 エコノミストからは、今回の数字はトランプ大統領の関税政策の大半が完全に実施される前ではあるが、財が持続的なディスインフレにとって逆風となっていることを示しているとの指摘が出ている。FRBが年内に2回以上の利下げを実施するとの見方に変化はないが、本日の米CPIを受けてもFRBの利下げに慎重姿勢は変わらないとの見方も出ている。 きょうのユーロドルは1.09ドルを挟んで上下動。米CPI後に買いが強まる場面が見られたものの、直ぐにドル買いが強まったことから押し戻された。しかし、その後は1.09ドルを挟んで上下動の展開となった。 本日はラガルドECB総裁のスピーチが行われていたが、ECBは不安定さを増す新たな世界に直面しており、衝撃に機敏に対応すると同時に、起こりうる多様な結果への対応策を明確に示す必要があるとの認識を示した。名指しはしなかったものの、新たな不安定性の多くがトランプ政権に起因しているとの見方を明確にした。 市場ではECBの追加利下げ期待が一旦後退しているものの、早期の追加利下げの可能性を再浮上させている。短期金融市場では6月の利下げを確実視している状況。 ポンドドルは上値追いが続き、1.30ドルをうかがう気配が出ている。米国とEUとの間が貿易戦争を繰り広げている一方、英国は関税の恐怖も小さいと見られていることから、その点ではポンドドルは上値を追い易いようだ。 来週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されており、据え置きがほぼ確実視されている。アナリストは「市場が外部要因に注目する中、英中銀の次回の政策決定はポンドにほとんど影響を与えない可能性がある」と指摘している。ただ、将来の緩やかな利下げシグナルには固執する見通しだという。 慎重なアプローチは最終的にポンドを支えると見ているようだが、ポンドは最近、リスク回避やドイツの財政拡大計画など欧州のゲーム・チェンジ的な出来事からユーロに対しては下落している。ユーロ圏の成長見通しは中期的には改善が見込まれているものの、目先の英経済のパフォーマンスは年末にかけてポンドを対ユーロで上昇させるはずだとも述べた。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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