【これからの見通し】市場のボラティリティーは落ち着くのか、恐怖と期待の交錯 今後に不透明残る 市場の高いボラティリティー状態が続いている。トランプ相互関税を強行したことで、市場は恐怖の渦に巻き込まれた。底なし沼となる相場動向にパニック状態になった。特に、安全資産として知られる金、それに続いてご本尊の米国債が売られたことが市場に痛手を与えた。さすがに米国政府も焦ったのだろう。ベッセント米財務長官は市場に近い人間だ。トランプ米大統領もいったん相互関税の発動を一時停止せざるを得なかったようだ。 これを受けて、市場は急反転。米中対立の構図には変化はみられていないものの、米中の話し合いが進展することや中国の力づくの市場安定策などへの期待が高まっている。急落していた株式市場はようやく下げ止まった。 しかし、恐怖にせよ、期待にせよいずれも行き過ぎ感は強い。買戻しもパニック商状となっている。このような状況が長続きするのか、このあとも好悪材料に振り回されそうだ。 現時点ではまだ「期待」に過ぎないのだが、トランプ大統領がこれ以上の高い関税をかけないとの姿勢を市場に浸透させてゆけば、次第にボラタイルな状況も落ち着きを取り戻してゆくと思われる。引き続き政治的な情報には神経を払う必要があろう。 この後の海外市場で発表される経済指標は、トルコ鉱工業生産指数(2月)、南ア製造業生産高(2月)、米消費者物価指数(CPI)(3月)、米新規失業保険申請件数(03/30 - 04/05)、カナダ住宅建設許可(2月)などが予定されている。市場の注目が高いことで知られる米消費者物価指数について、市場で前年比+2.5%と前回の+2.8%から伸びが鈍化する予想となっている。コア前年比は+3.0%と前回の+3.1%から小幅の鈍化が予想されている。通常時であれば、結果が予想と0.1%ポイントでもずれれば、鋭い反応を示す。しかし、トランプ関税で相場が荒れる展開のなかでは、一方向への動きは続かない可能性もあり注意しておきたい。 発言イベント関連では、ブロック豪中銀総裁、ブリーデン英中銀副総裁、ローガン・ダラス連銀総裁、ボウマンFRB理事、シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、テュディン・スイス中銀理事、グールズビー・シカゴ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁などの講演が予定されている。トランプ関税の影響について判断しにくい段階とあって、いったん行動を控えることが示されそうだがどうか。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
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