石油週間見通し=半値戻しの65ドルが目標、地政学的リスクが材料視か

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油は崩落。5月限は9日に55.12ドルの安値を
付けた後に急反発したとしたが、ボラティリティーの高さを考えると、底入れ判断はま
だ時期尚早。なお期近のつなぎ足ベースでは2021年2月以来の安値水準になってい
るとした。

【NY原油は半値戻しの65ドルが目先の上値目標】
 ニューヨーク原油はもみ合い後に戻り高値を更新する展開となってきた。5月限は
22日に納会するため、6月限が指標限月となるが、9日に54.67ドルの安値を付
けた後、直近は64.18ドルまで既に9ドル以上、急伸している。
 チャート上は、今年1月15日に付けた75.51ドルの高値から前述の安値までの
20ドル以上の下げ幅に対する38.2%戻し(62.63ドル辺り)がこのところ上
値抵抗となっていたが、それを上抜けたことで65ドルの節目とそれに近い半値戻し
(65.09ドル辺り)が目先の上値目標となる。それをを上抜けると、61.8%戻
しの67.55ドルが次の上値目標となるが、有事がなければ、節目と半値戻しが重な
る65ドルのエリアはひとまず強い上値抵抗となる可能性が高い。

 材料的には、貿易摩擦懸念より中東地域の地政学的リスクの方が優勢になりつつあ
る。当欄ではこのところ米メディアが煽っている5月の米国のイラン攻撃の可能性を指
摘してきたが、攻撃も止むなしの雰囲気造りのため米国はプロセスを踏んでいるよう
だ。
 米ニューヨーク・タイムズは16日、イスラエルのイランの核関連施設攻撃する計画
を米国が阻止したことを報じている。また19日にはイランの核開発問題を巡る米国と
イランの2回目の協議が行われる予定。一方、イラン外相が訪ロして、17日にはプー
チン露大統領と会談している。したがって、イースター明け(復活祭)明けは協議決裂
から地政学的リスクがさらに高まる可能性もありそうだ。
 またイランが背景にいると言われるフーシ派をターゲットした米国のイエメン空爆は
続いており、17日にも空爆で38人死亡している。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万ドル割れで乱高下しているが、
結局、引けでの4万ドル台回復に失敗して、再び下向きの流れとなっている。
 ドルインデックスは100ポイント台割れで小幅なもみ合い。まだ底割れ含みと言え
る形。

【米EIA、職員の大量退職で統計物の発表に影響が出る可能性】
 ロイター通信によると、米エネルギー情報局(EIA)の職員が100人以上早期退
職する見通しという。全体の40%に当たることから、統計物やリポートの発表に影響
が出る可能性があるという。
 最も注目度の高い週報についても、関係者談として「発表継続については何とも言え
ない。この先どのようにして発表を続けられるのか、想像できない」ととされている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である9月限は2営業日連続で大陽線を引けて、ボリンジャーバン
ドの—1シグマ(5万6240円辺り)を完全に上抜けた。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油6月限は17日の大陽線で64.18ドルまで戻り高値を更新し
た。65ドルの節目やその上の21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線
(65.29ドル辺り)が射程に入っている。

 ブレント原油6月限も同様に戻り高値を更新。68.14ドルまで上昇して、ボリン
ジャーバンドの中心線(69.09ドル辺り)や70ドルの節目が視野に入ってきた。


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