<金> NY金6月限は16日に3358.4ドルに達したのに続き、17日に3371.9 ドルを記録し、一代高値を更新する場面が続いている。 米トランプ政権による一律10%と国・地域別の相互関税発表以降、米国発の世界的 な貿易の停滞に対する警戒感が高まっている。加えて、米中貿易戦争の激化も懸念され るなか、米国債の売りが活発化する場面が見られるなか、米国に対する信認が低下する 一方で、万国共通の安全資産とされる金に対する投資意欲が高まっていることが、金価 格上昇の主因になっている。 米トランプ政権による関税については、トランプ米大統領とイタリアのメローニ首相 の会談や、米国と日本の間でも交渉が行われていることを受け、米国の関税政策がこれ まで発表されている内容よりも緩和される可能性が浮上していることでリスク回避の動 きが緩和されている。トランプ関税に関しては発表された後に修正が行われるケースが 相次いでいる。 特に、今月9日に相互関税を発表しながらも、米国債が売られたことを受けてその日 のうちに90日の停止措置を発表したことは、場当たり的な印象を与えると同時に、米 国の信頼性を低下させる結果につながっているため、今後も引き続き米国由来の安全資 産から資金が流入する動きが続くと見られる。 また、米政権による政策に加え、4月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が新 規受注や出荷の悪化により2023年4月以来の低水準まで低下したうえ、設備投資見 通しも低下するなど、米政権の政策に対する不安感が米経済にマイナスの影響を与えて いる様子を示す経済指標の発表も見受けられている。 企業活動の停滞は雇用の縮小につながりかねないが、このような中で今後、米国内で は関税引き上げを受けた物価高が予想されることで、米経済不安が高まっており、これ も安全資産を求める動きを活発化させる要因になっている。 これまで何度も一代の高値を更新する動きを見せてきたことで価格上昇に対する警戒 感が強まる可能性や、リスク回避の動きから値を落とす可能性はあるものの、世界的な 貿易の停滞が警戒されるなか安全資産を求める動きがくすぶると見られるだけに金には 引き続き根強い需要が見られることになりそう。 再び一代の高値を更新する可能性もあるなかでの3300ドルでの値固めの動きが続 くか。 <銀> NY銀5月限はNY金の堅調な足取りに追随高となっていたが、16日に3300セ ント台に達すると反落に転じており、上げ一巡の様相を見せている。 金は根強い投資用需要に支えられる可能性があり、NY銀市場にとっても金の足取り が下支え要因になってくると見られる。ただ、安全資産としての役割の薄さが上値の重 さになってくるであろう。3300セント前後での高下が想定される。 <白金> NY白金7月限は今月7日に878.3ドルまで値を落とした後は急反発に転じた が、980ドルに達した後に反落に転じるなど目先の買い一巡と見られる動きを見せて いる。 他非鉄貴金属と同様にNY金に安全資産を求める資金が流入していることはNY白金 市場においても買い支援要因ながら、米トランプ政権の関税政策を受けて世界的に貿易 活動が停滞する可能性が浮上していることや、同じく米トランプ政権による自動車輸入 関税の引き上げを受けた自動車触媒用としての白金需要の減退懸念が上値を抑制する要 因になっている。 現在、米国と他諸国とで交渉が行われており、米関税政策に修正が行われるようであ ればさらに値位置を切り上げる可能性はあるものの、目先は需要不安が重石となり、上 値は重く、1000ドルが抵抗線、17日の安値959ドルが支持線にしたレンジ相場 を予想。 <パラジウム> NYパラジウム6月限は今月11日から15日にかけて続伸し980ドル台まで値を 戻したが、その後は反落に転じている。 独自の手掛かりに乏しく、米関税政策を受けた安全資産を求める動きを背景に他貴金 属に連動する足取りを見せている。同時に白金との値開きが意識され、白金価格に近づ くと売り直される動きが続いている。 NY白金7月限が980ドルを上値抵抗線として意識した動きが予想されるなか、 NYパラジウム6月限は950ドルを下値支持線にしてのもちあいが見込まれる。 MINKABU PRESS
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