ゴム週間見通し=戻り売り優勢、金融・商品市場の混乱続く

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週までのレビュー】金融市場の混乱は続き、JPXゴムRSS3号は急落の動きか
ら自律反発の可能性はあるが、戻りは叩かれる展開が続くと予想した。
【自律反発は限定的】
 トランプ大統領の相互関税を受けた金融市場、商品市場の混乱が依然続いている。ド
ル建てゴールド(金)が史上最高値を更新している状況は混乱の証左であろう。9日に
決定した相互関税の上乗せの一部停止の効果も既に薄れている。現在のJPXゴムRS
S3号は、ゴム独自の材料ではなく、市場全体を覆う先行きの不安感に支配され、売り
が優勢となっている。トランプ米大統領は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)
議長の進退にまで口を挟んでおり、同議長が辞任に追い込まれれば、株安・ドル安・債
券安の「トリプル安」につながる可能性がある。これはJPXゴムRSS3号にとって
も売り材料になり得る。当面は、トランプ米大統領の言動に対する警戒感やトランプ関
税による景気減速懸念が払しょくされることないだろう。このため、JPXゴムRSS
3号は、直近の下落に対する自律反発が見られても、戻りは叩かれると考えられる。
【中国景気本復には時間が必要】
 16日に中国国家統計局が発表した2025年1−3月期国内総生産(GDP)は、
前年同期比5.4%増となり、市場予想の5.1%を上回った。ただ、前期比では1.
2%増に留まり、市場予想の1.4%を下回った。
 中国は米国との通商摩擦が激化しており、今後、同国の景気が減速する可能性があ
る。また、GDPに先立って発表された3月の中国新築住宅価格は前月比0.08%減
となった。中国政府は、不動産セクターに広範な支援を実施したにもかかわらず、需要
が伸びていない。中国景気の腰折れの原因が不動産バブルの崩壊だけに不動産需要が本
格的に回復するまでは同国の景気不安は付きまとうだろう。
【上海ゴムは下値模索】
 上海ゴムの中心限月の9月限は、安値圏でのもみ合いとなっている。3月31日に終
値ベースで1万7000元を下抜くと、4月3日に1万6280元まで下落し、一代安
値を更新した。さらに米中貿易摩擦が激化したことから、9日には1万4035元まで
下落した。その後の戻りも1万5000元超では、売りを浴びる展開となった。目先、
一代の安値を試す場面がありそうだ。安値更新となれば、特に目立った支持線は見当た
らない。節目の1万4000元や1万3500元を目指す展開になると考えられる。
【東京ゴム活発限月の9月限のテクニカル要因】
 ゴムRSS3号の活発限月の9月限は、安値圏でのもみ合いとなっている。3月中旬
からの値動きをみると、上海安や円高に加え、トランプ関税を受けて11日に335.
4円まで下落した。その後は、340〜350円前後でのレンジ相場となっていたが、
25日に節目の350円を終値ベースで上抜くと、28日には357.7円まで水準を
引き上げた。ただ、同水準で戻りを叩かれると、4月2日(日本時間3日午前5時)に
発表された米トランプ政権の相互関税を嫌気して3日から急落、9日に281.0円ま
で下落し、一代の安値更新場面となった。その後は281〜305円前後のレンジ相場
となっている。
 一段安となった場合、一代の安値208.1円が最初の関門。安値更新となれば、節
目の280円や270円を意識した展開になる。一方、反発するようなら、8日の高値
305.1円がポイントになる。同水準を上抜くと、節目の310.0円や一目均衡表
の基準線がある319円台を目指しそうだ。
【今週の注目ポイント】
 トランプ大統領の動向に注目したい。金融・商品市場に混乱をもたらしているトラン
プ関税に続き、同大統領はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長に退任要求と
も受け取れる発言をした。実際にパウエルFRB議長が辞任に追い込まれれば、米金融
市場はさらに混乱するだろう。その場合、JPXゴムRSS3号は一段安となる可能性
がある。
【相場予想レンジ】
 4月21〜25日のJPXゴムRSS3号9月限の中心レンジ予想は280〜310
円。テクニカルの支持線は281.0円(一代の安値)、抵抗線は305.1円(4月
8日高値)。
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