ドル円、下に往って来いの展開 米雇用統計を受けて米利下げ期待が後退=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、下に往って来いの展開 米雇用統計を受けて米利下げ期待が後退=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は下に往って来いの展開が見られた。この日発表の米雇用統計は予想を上回る内容となったものの、ドルは次第に売りが優勢となった。ドル円も144円台後半から143円台後半に1円以上下落したが、米国債利回りが上昇しているほか、米株式市場も上げを継続していることから、次第にドル買いが復活し、ドル円も序盤の下げを取り戻した。145円台まで買い戻されている。

 来週はFOMCが予定されているが、本日の米雇用統計から、トランプ大統領の要請とは裏腹に、パウエルFRB議長が利下げに前向きになることは無さそうだ。市場もFRBの利下げ期待を後退させており、早くても7月以降に後退させている。前日は6月利下げを織り込む動きが出ていた。来週のイベントに向けて、今年に入って積み上げたドルショートを調整しようという動きが活発に出ていた可能性もありそうだ。

 本邦勢は週末から大型連休の後半に入るが、ここにきて短期的に円安との見方も出始めている。前日の日銀決定会合で年内の利上げ観測が後退していること、2回目の日米通商交渉で為替が議題とならなかったこと、そして何よりも、円ロングが積み上がり過ぎていることなどが理由としてあがっている。

 ユーロドルは上に往って来いの展開。一時1.1380ドル付近まで上昇した後、1.13ドルちょうど付近に戻している。1.14ドル台回復を試す雰囲気は見られていなかったものの、21日線の水準はサポートされている格好。本日の21日線は1.1280ドル付近に来ていた。

 トランプ大統領の貿易戦争がすでにユーロ圏のインフレを低下させているとの指摘が出ている。主に原油下落を通じてインフレを低下させているという。ECB内では、一部のメンバーがサービスインフレの上昇リスクを懸念しているものの、6月と9月に追加利下げを実施すると見ているようだ。エネルギーコストの低下とサービス部門のコスト緩和で、インフレは夏にECBの2%目標を下回るという。

 ポンドドルは一時1.33ドル台に上昇したものの、1.32ドル台に伸び悩む展開。ここ数日の下げで上値も重くなってきているようだ。来週はFOMCとともに英中銀も政策委員会(MPC)を開催し、市場では0.25%ポイントの利下げが確実視している。中でもディングラ委員は0.50%ポイントの大幅利下げを主張する可能性も高いと見られている。

 トランプ政権は貿易摩擦がほぼ無い英国にも10%の基礎的な相互関税を課してきた。目先は短期的なインフレ環境の厳しさから、英中銀は利下げに慎重姿勢を見せる可能性はあるが、成長の下振れリスクが高まったことも示唆すると見られている。また、英中銀は今回のMPCで、ガイダンスに変更を加える可能性がある。ガイダンスから「段階的」という言葉を削除し、連続利下げの可能性を示唆するとの見方も出ているようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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