ドル安が一服し、ドル円も一時144円台に戻す 米国債の売り一服=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル安が一服し、ドル円も一時144円台に戻す 米国債の売り一服=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、米財政赤字への懸念が一服し、米国債も買い戻される中、ドル安が一服した。この日発表の米PMIが予想外に強い内容となったこともドルの買い戻しに繋がった模様。そのような中、142円台まで下落していたドル円も一時144円台に戻した。ここ数日、急速に下落していただけに押し目買いや短期筋のショートカバーも出ていたようだ。

 ただ、ドルへの弱気な見方に変化はなく、ストラテジストは、現在はドルの複数年に渡る下落トレンドの始まりだと指摘している。現在の焦点は米財政見通しで、これがドルの下落のきっかけとなる可能性があると述べている。また、別の識者も、米財政懸念が継続すれば、結局、ドルはより大きな代償を払うことになるだろうと警告。

 朝方に米下院がトランプ税制法案の修正案を可決し、上院に送付した。法案は増税を回避する一方、財政負担を増大させる。トランプ大統領の最初の任期中の減税措置を延長し、それに新たな減税策を追加することで、米経済成長への打撃回避を目指すが、年間数千億ドルの赤字と経済格差の拡大が指摘さており、米上院は修正を求めると見られている。

 ユーロドルは戻り売りに押され、1.12ドル台に値を落とす展開。本日の21日線が1.1280ドル付近に来ており、その水準での推移。

 本日はデギンドスECB副総裁の発言が伝わり、「ECBは今後数カ月以内にインフレ目標を達成する見込みだ」と述べた。「われわれは比較的早い時期に2%という物価安定の定義である対称的、中期的な目標を安定した形で達成する状況に到達すると考えている」と述べた。物価上昇抑制の要因として、エネルギーコスト低下とユーロの堅調さを挙げていた。

 ポンドドルは1.34ドル台で上下動。一時1.33ドルに下落する場面が見られたものの下値をサポートされ、年初からの上昇トレンドに変化はない。

 一部からポンドドルは下半期に1.40ドルに達するとの見方も出ている。ポンド強気派の忍耐が実を結び、ポンドドルは1.35-1.40ドルのレンジに迫っており、年後半にけて1.40ドルを試す可能性を帯びて来ているという。ドル離れに加え、堅調な英経済と英中銀の追加利下げへの慎重姿勢がポンドを支援。目先は1.35ドル付近に強い抵抗があるが、それを突破し、下半期にかけて1.35-1.40ドルで推移する可能性があるという。

 第1四半期に見られた上昇要因が第2四半期に入っても継続しており、英経済の予想を上回るパフォーマンスと景気後退シナリオの回避、そして重要な点として、英中銀がハト派的な誘惑への抵抗を継続している点がポンドを支えているとしている。一方、ポンドのリスクに敏感な特性を考慮すると、急激で予期せぬセンチメントの変化が、最も注意すべきリスクとも指摘した。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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