【前週のレビュー】ニューヨーク原油7月限は満月だった13日に63.44ドルの高 値を付けたあと反落する展開となったが、60ドル台を割り込まずに目先は戻してい る。前述の高値を抜けるのか否かに目先は注目したい。 【NY原油は再び60ドルを維持できるか否かが焦点】 ニューヨーク原油7月限は21日にこれまでの戻り高値を抜けて64.19ドルまで 上昇したが、その後は急落して22日には60.25ドルの安値を付けた。現在のとこ ろ60ドルの節目を維持しており、60〜65ドルのエリアでのもみ合いの様相となっ てきた。本稿執筆時点の23日午後現在、60ドル台後半で推移しているが、チャート 上は60ドルの節目を維持できるか否かが目先の焦点となる。なお27日が新月のた め、その辺りで目先の底入れとなれば、このまましばらくはもみ合いが続く可能性もあ る。 材料的には、イスラエルがイラン核施設への攻撃を計画中と米当局者が発言したと米 CNNが報じたことで、21日のアジアの時間帯の朝方に急伸したが、その日のうちに 崩れた。その背景には、停滞しているイランの核開発を巡る米国とイランの協議が23 日にローマで再開されると報じられたことや、米石油協会(API)、米エネルギー情 報局(EIA)ともに週報で原油在庫が増加したこと、さらに22日には、ブルームバ ーグが6月1日の石油輸出国機構(OPEC)プラス会合で7月から大幅増産すること を検討していることが報じられたことでさらに下げ足を加速した。まだ合意はしていな いものの、日量41万1000バレルの増産が協議されるだろうとしている。仮に実施 されれば、3カ月連続の増産となる。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は戻り高値から反落する展開となり、 4万2000ドル台を割り込んだ。 ドルインデックスは再び100ポイント台を割り込み、99ポイント台で推移。 【EUがロシア産原油の取引価格の上限引き下げ提案も米国が難色】 20〜22日にカナダで開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議 で、欧州連合(EU)が海上輸送されるロシア産原油の取引価格の上限を現行の60ド ルから50ドルに引き下げるように提案したが、米国は難色を示している。ただ協議は 今後も継続される見通しという。 またこれとは別にEUと英国は20日、米国の参加なしにロシアに対する新たな制裁 を発表した。ロシア産石油などを輸送する第三国経由の189隻のタンカー(影の船 団)を新たに制裁リストに加え、港へのアクセスを禁止した。 対ロシア制裁に関して、米国と欧州の間に温度差が感じられる。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である10月限は21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの 中心線(5万6000円辺り)を中心にして1シグマ(5万7340円辺り)と−1シ グマ(5万4660円辺り)の間のもみ合いとなっていたが、22日の大陰線で下限の −1シグマを試す展開となってきた。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油7月限はボリンジャーバンドの1シグマ(62.40ドル辺り)を 上値抵抗とした展開となっていたが、21日の一時的な急伸で、ほぼ2シグマ (64.28ドル辺り)を達成した後に崩れて、22日には安値で中心線(60.50 ドル辺り)を試す荒い値動き。 ブレント原油7月限も似たような値動きだが、21日の高値はボリンジャーバンドの 2シグマ(67.65ドル辺り)には遠く及ばず、13日の高値(66.81ドル)に も届かず、22日の安値は中心線(63.91ドル辺り)を試した。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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