ドル円、一時146円台に下落 FRBの暫定理事にミランCEA委員長を指名 ドル安の反応=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、一時146円台に下落 FRBの暫定理事にミランCEA委員長を指名 ドル安の反応=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、終盤になってドル安が強まり、ドル円は146円台に下落。トランプ大統領が、退任を表明しているクーグラーFRB理事の後任にミランCEA委員長を指名した。自身のSNSで明らかにした。ただ、来年1月末までの暫定理事となる。

 ミラン氏はトランプ大統領の関税政策およびグローバル貿易体制の再構築の知的支柱となった白書の著者として知られている。現在の政権内での役割を考慮すると、年内3回のFOMCで利下げを求める声に加わることが予想されることから、為替市場はドル安で反応したようだ。

 FRBの早期利下げ期待が台頭し、本日もボスティック・アトランタ連銀総裁の発言が伝わっていたが、利下げに前向きな姿勢も垣間見せていた。短期金融市場では9月の米利下げ確率が90%付近に上昇しているほか、年内2回の利下げも完全に織り込んでいる。ミラン氏の指名で3回の利下げの
確率は43%程度まで上昇。

 ただ一部からは、例え日銀が追加利上げに動き、FRBが利下げに向かったとしても、日米金利差は依然として大きいく、ドル円を押し下げるのは難しいとの指摘も出ている。投機筋の円ロングは縮小してこそしているものの、依然として高水準で積み上がっており、円が上昇し、ドル円が下落したところでは、それらのポジションの巻き戻しがまだ出易いという。

 ユーロドルは1.16ドル台前半で推移していたが、終盤に1.1660ドル近辺まで上昇。本日の21日線が1.16ドル台前半に来ているが、その水準は維持した格好となっている。

 本日は6月のドイツ鉱工業生産が発表になっていたが、予想以上の減少となり、1年ぶりの大幅な減少に見舞われた。エコノミストからは、ドイツ製造業の回復は依然として見通せない状況にあり、第2四半期もマイナス成長の可能性も浮上している。トランプ関税が輸出の足かせとなっている一方、労働力不足やエネルギーコストの高さといった構造的な弱点も回復を妨げる要因となっているという。

 本日はポンドの上昇が目立った。対ユーロ、円でも上昇。きっかけは本日の英中銀の金融政策委員会(MPC)。大方の予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施してきたが、意外にも決定は接戦だった。

 委員9名のうち5対4での決定だったほか、1回目の投票では票が3通りに分かれ、過半数に届かなかったため再投票を実施していた。ベイリー総裁は声明で、「決定は微妙なバランスの上に立つものだった。金利の動きは引き続き下方向であるものの、将来の利下げは段階的かつ慎重に行う必要がある」と強調した。

 これを受けて一部からは、年内の追加利下げは難しいのではとの見方が台頭。短期金融市場では年内の追加利下げの確率を、MPC前まではほぼ100%で織り込んでいたが、75%まで低下させている。9月はほぼ無し、11月まででも半々の確率といったところ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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