【来週の注目材料】ジャクソンホール会議でパウエル議長は利下げに向けた姿勢をどこまで示すか

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の注目材料】ジャクソンホール会議でパウエル議長は利下げに向けた姿勢をどこまで示すか

 ワイオミング州ジャクソンホールで21日から23日にかけて、カンザスシティ連銀が主催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催されます。毎年多数の各国中銀関係者、学者などが参加する同シンポジウム。参加した各国中銀のトップによる発言によって、その後の金融政策に関する見通しが変化し、相場が大きく動く例が何度も見られたこともあり、市場が大いに注目する夏の風物詩となっています。
 
 これまで注目された発言を挙げます。
 2010年の会議では、当時のFRB議長であったバーナンキ氏が量的緩和実施の可能性に言及。FRBは実際に同年11月のFOMCでQE2に踏み切りました。なお、この時同会議に出席していた当時の日銀総裁白川氏は、予定を早めて急遽帰国。臨時の日銀金融政策会合を開催し、追加緩和を実施しています。
 2014年の会議では当時のECB総裁であったドラギ氏が追加緩和の可能性を示唆、同年9月のECB理事会で利下げと量的緩和に踏み切っています。
 パウエル議長も昨年の会議で「政策金利を変更する(利下げする)時は来た」と発言。同年9月から始まった米FRBによる利下げサイクルのスタートを示しました。

 今回の会議でもパウエル議長を中心にどのような発言が出てくるのかが注目されます。パウエル議長は22日午前の基調講演を担当する予定が発表されました。テーマは「Econmic Outlook and Framework Review」(経済見通しとフレームワークレビュー)となっています。今年のジャクソンホール会議自体のテーマ「転換期の労働市場:人口動態、生産性、マクロ経済政策」とも合わせ、1日の雇用統計後に一気に進んだ利下げに向けた動きなどについて発言があると期待されます。

 FRBは昨年9月のFOMCで0.5%利下げを実施した後、11月、12月のFOMCで0.25%利下げを実施、計1%の利下げで政策金利を現行の4.25-4.50%とした後は、直近7月のFOMCまで政策金利の据え置きを続けています。政策金利を据え置く根拠として雇用市場の堅調さと関税が物価に及ぼす影響がまだ不透明であることを挙げていました。しかし1日発表の米雇用統計で、5月、6月の数字が大きく下方修正され、7月も予想より弱い伸びとなったことで、雇用市場の厳しい状況が示されました。関税の物価に与える影響については12日発表の米消費者物価指数(CPI)では目立たなかったものの、14日発表の米生産者物価指数(PPI)が高い伸びとなったことで、判断が難しくなっていますが、弱い雇用のインパクトが相当強いだけに利下げに向けた姿勢が強まることは不可避と考えられています。

 こうした中でパウエル議長がどのような姿勢を示すのかが注目されます。なお、その他の参加者による講演やパネルディスカッションのスケジュールは会議開始の21日にカンザスシティ連銀が公表します。

MINKABUPRESS 山岡

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