石油週間見通し=露ウ停戦協議注目も不透明感強い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は61.29ドルまで下落して、6月の
暴落時に付けた62.00ドルを割り込んだ。仮に今後61.29ドルを割り込むよう
であれば、60ドルの節目が視野に入って来ることになろうとした。

【NY原油10月限、半値戻しの64.14ドルが上値目標】
 ニューヨーク原油10月限は13日の安値61.29ドルを割り込まずにもみ合いか
ら戻す展開となっている。このところは、4月9日の一代安値54.03ドルから6月
23日の一代高値の74.25ドルまでの上げ幅の61.8%押しの61.75ドルを
支持線としたもみ合いが続いていたが、直近は戻して本稿執筆時の22日の午後時点に
は63ドル台前半で推移している。まだ下落途中の中段もみ合いの域を出ていないが、
差し当たりは前述の上げ幅に対する半値戻しである64.14ドルが上値目標となって
きそうだ。

 材料的には、先日の米露首脳会談以降、ロシアとウクライナを巡る停戦協議の動向が
焦点のひとつになっているが、最終的な停戦合意にはまだ紆余曲折がありそうだ。露ウ
首脳会談を模索しているとの情報も出ているが、その一方でウクライナ当局によると、
同国に向けてロシアが21日、ドローン574機とミサイル40発を発射して、7月以
降最大の攻撃を行っている。そもそもウクライナが領土割譲を主張するロシアの条件を
そのまま承諾する可能性は低いだろう。

 なお、直近ではトランプ米大統領が22日の米東部時間の正午に重大発表を行なうと
しているが、これまで何回も「重大発表」を繰り返しているため、あまり注目されてい
ない。むしろ目先は22日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(F
RB)議長の講演が注目されており、それを受けた米株やドルの値動きに注目したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は8月中旬に上昇後、高値圏のもみ合
いが続いている。4万4000ドル台後半で推移。
 ドルインデックスは直近は戻り高値を更新する展開となっており、98ドル台後半ま
で上昇している。

【中国、インドの方針転換に乗じてロシア産ウラル原油の輸入増加】
 米国の警告により、インドがロシア産原油の輸入を減少させて輸入元の多角化を図っ
ていることを過去2回の当欄で指摘したが、逆にこの機に乗じて、もう一つのロシア産
原油主要輸入国である中国の同国産原油輸入が増加しているようだ。
 調査会社、ケプラーによると、中国がロシアの極東産原油だけでなく、ウラル原油の
輸入を増加させて8月のバルト海や黒海から飲む中国向けウラル産原油の積み出しが日
量7万5000バレルまで増加しているという。年初来の平均である同4万バレルから
急増しており、この傾向は当面続きそうだ。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である1月限は6営業日連続で陽線引けとなり、直近は21日移動
平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(6万0530円辺り)を上抜けて来た。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油10月限は下降中のボリンジャーバンドの−1シグマ(62.13
ドル辺り)を挟んだもみ合いから上放れてきたが、中心線(64.25ドル辺り)には
まだ届いていない。

 ブレント原油10月限もほぼ似た展開だが、21日の上昇でボリンジャーバンドの中
心線(67.86ドル辺り)にほぼ到達した。

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