18日からの週は、金曜日の米ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演に焦点が当てられた。週初からのほとんどの時間はパウエル待ちのムードの下に推移した。米S&Pが米国格付けを据え置き、米ウクライナ首脳会談は無難に通過、日本国債利回りが上昇して日銀早期利上げ観測を醸成、英国ではCPIの予想上振れがポンド買いを誘う、米PMI速報値が好調で市場における9月米利下げ観測が7割台へとやや低下、米株はやや調整に押されるなど。ただ、上記いずれの材料も、パウエル講演待ちのムードとなるなかで、相場の流れを形成するには至らなかった。日本時間22日午後11時のパウエル講演では政策スタンスの調整が必要になる可能性を示した。利下げを示唆する発言に一気にドル売りとなり、ドル円は発言前から約2円の急落。ユーロドル、ポンドドルなどドル円以外でもドル安となった。日米金利差縮小期待からドル円の動きが最も大きく、クロス円は軒並みの円高となった。 (18日) 東京市場は、円売り先行も午後には一服した。ドル円は、午前に日経平均やアジア株の上昇を背景にリスク選好の動きで円売りが優勢となり、一時147.58付近まで上昇した。しかし、午後は日経平均の上昇が一服したことなどから上値は広がらず、147円台前半を中心に小動きとなった。週後半には米カンザスシティ地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が予定されており、注目が集まっている。ユーロドルは1.1694-1.1717のレンジで揉み合い。ユーロ円は午後にこの日の高値を小幅に更新し、一時172.65付近まで上昇。ポンド円は200.01付近まで、豪ドル円は96.17付近まで上昇したあと、高止まりとなった。 ロンドン市場は、円売りが一服している。東京市場では日経平均の上昇とともにドル円は147円付近から147円台後半へと買われた。その後は上昇一服となり、ロンドン時間には147円台前半での揉み合いが続いている。欧州株は上値重く推移しており、リスク選好の動きは後退。米ウ首脳会談を控えて不透明感がある面も指摘される。ユーロ円は172円台前半、ポンド円は199円台半ばまで小安く推移。ドル相場はややドル高に傾斜。ユーロドルは1.17台前半から1.16台後半へ、ポンドドルは1.35台で上値重く推移している。ユーロ対ポンドではややユーロ売りが優勢になっている。きょうは米ウ首脳会談以外には、特段の注目経済統計などの予定はない。地政学リスクが意識されやすい状況となっているようだ。 NY市場ではドル高が優勢。ドル円は147円台後半へ上昇。米ロ首脳会談では進展なく、市場は依然9月の利下げ観測が優勢だが、積極的な利下げ期待は後退。FRBは難しい判断を迫られ、今週のジャクソンホール会議、特にパウエル議長の講演に注目が集まる。ドル円は100日線(145.50円)と200日線(149.25円)の中間で推移。ユーロドルは1.1660付近まで下落した。ただ、企業のコスト転嫁がインフレ圧力と消費減速を招きドル安要因になる可能性も指摘された。一方、ポンドドルは1.35台前半で底堅く推移し、21日線を維持。今週の英CPIが予想を上回ればポンド高に反応し、1.36突破の可能性もある。賃金上昇や強いGDPを背景に英中銀の利下げ観測は後退しており、市場では年末までの利下げ織り込みは半々となっている。 (19日) 東京市場では、ドル円は147円台後半で推移後、午前中に一時148.11付近まで上昇した。米S&Pが米国の格付けを「AA+/A-1+」で据え置いたことを受け、148円手前での売りを突破して上昇した。しかし、その後すぐに反落。148円台では売りが厚く、147.59付近まで下落した。昼にかけ一時147.80台を回復したものの、日本20年債の入札通過で金利がやや上昇し、円買いが優勢となり再び下値を試す展開となった。ユーロドルは1.1670前後から1.1639近辺まで下落も、その後1.1660付近へ戻した。ユーロ円は172.60台から172円前後まで下落後、ドル円上昇に伴い一時172.30台へ戻るも、再び軟化。ポンドドルは1.3510近辺から1.3487近辺まで下落後に回復。ポンド円は200円手前で上値が重く199.20台まで下落、その後持ち直すも再び下値を試す展開となった。 ロンドン市場は、ややドル安の動き。ただ、東京午前のドル高の反動や米債利回り小幅低下に連れ安するなど、背景となる目立った材料は見当たらない。ドル円は147円半ばに軟化したあとは147円台後半での揉み合い。ユーロドルは1.16台前半から後半へ、ポンドドルは1.34台後半から1.35台前半へと水準を上げている。米10年債利回りは4.34%台から4.32%付近へ小幅に低下。欧州株が堅調に推移する一方、米株先物・時間外取引は小安い。米ウ首脳会談を無難に通過したことが市場をひと安心させており、極端な相場展開は回避されている。今週は金曜日のパウエル米FRB議長のジャクソンホール講演を控えて身動きが取れない状況。海外勢にとってはサマーホリデー気分もあるようだ。 NY市場では、ドル高の動きが見られたものの、様子見姿勢が強くドル円は147円台で上下動。市場は22日のジャクソンホール会議でのパウエル議長講演を注視しており、短期金融市場は9月FOMCでの0.25%利下げを約80%の確率で織り込み。積極利下げは期待されず。議長は中銀独立性を強調すると見られる。ドル円は100日線145.50と200日線149.25のレンジ内で推移。S&Pが米国格付け「AA+」を確認したが大きな反応なし。ユーロドルは1.16台を維持するも上値は重く、ユーロはドルやリスク動向に翻弄されやすい状況。中期的には財政拡大を背景にユーロ堅調予想も、短期的な材料は乏しい。ポンドドルは1.34台で戻り売り優勢。英CPIなどが控えているが、上昇は一時的とされ、成長懸念と財政引き締めから英中銀は追加利下げを迫られるとの見方が続いている。 (20日) 東京市場で、ドル円は朝方ドル高優勢となり147.82付近まで買われたが、昨日の米株下落を受けた東京株安でリスク回避の円買いが強まり147.42前後まで下落。その後は147円台半ばで推移したが、ロンドン時間に入ると売りが加速し147.15近辺まで下落した。ストップロスを巻き込んで円高が進行。日本国債利回りが上昇したことが円買い圧力を強めた。10年債は1.606%と2008年以来の水準に達した。ユーロ円は172円前後から171円割れへ下落後、171.70台に戻したものの再び171.12付近まで急落した。英7月CPIは前年比+3.8%と予想(+3.7%)や前月(+3.6%)を上回り、ポンド買いが優勢に。ポンドドルは1.3480台から1.3500台へ上昇。ポンド円も198.80台から199円付近まで上昇したが、その後の円買いで伸びを解消した。 ロンドン市場は、リスク回避の円高が先行も値動きは続かず。昨日米株式市場でITハイテク株などが売られ、きょうの東京市場でも日経平均が下落した。世界経済の不透明感にともなうリスク回避の動きでドル円は147円台後半から前半へと一時下落。ポジション調整が入る面も指摘された。しかし、ロンドン時間に入ると円買いは一服し、147円台半ばへと買い戻されている。ユーロ円も171円台前半から172円手前へと買戻しが優勢。ポンド円は198円台後半から一時199円台半ばと本日の高値を更新する場面があった。ポンド相場にとっては日本時間午後3時発表の7月英消費者物価指数の上振れがポンド買いを誘う面もあった。ポンドドルは1.34台後半から一時1.35台乗せまで上昇した。ユーロドルは1.16台前半での揉み合いから、足元では半ばへと上昇。対ユーロでもポンド買いが先行したが、足元では値を戻している。ラガルドECB総裁からは米関税の影響で第2・第3四半期のユーロ圏成長が鈍化する見通しが示された。 NY市場は前日と同様に様子見姿勢が続いている。ドル円は一時146円台に下落する場面があったものの147円台を維持。市場はジャクソンホールでのパウエル議長講演待ちとなっている。公表された7月FOMC議事録では多くの委員が「インフレリスクが雇用リスクを上回る」と認識しており、早期利下げ期待を抑える内容。ただし雇用統計前の会合であり影響は限定的。市場は9月FOMCでの0.25%利下げを約80%織り込み済みとの見方。ユーロドルは1.16台で小幅推移、ユーロ圏7月HICP確報値は前年比+2.0%でECB目標と一致し、9月利下げ一時停止観測を支持。次回利下げは12月の可能性が指摘された。ポンドドルは1.34台半ばに下落。英7月CPIは前年比+3.8%と予想を上回り、中銀にとって難題に。インフレの粘着性は早期利下げを阻む一方、成長減速は慎重姿勢を必要とするとの指摘が出ている。 (21日) 東京市場で、ドル円は147円台前半で落ち着いた動き。今日から開催されるジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え、ドル円は朝から147円台前半を中心に小動きが続いている。市場では米9月利下げの見方が強まっている中、パウエルFRB議長が日本時間22日午後11時からの講演で利下げ時期に言及するかどうかに関心が集まっている。 ユーロドルは弱含み。午後に若干ドル高となり、一時1.1633付近まで下落した。クロス円はおおむね揉み合い。ユーロ円は171円台後半、ポンド円は198円台前半で朝から一進一退の推移となった。 ロンドン市場は、ユーロやポンドが買われている。仏独ユーロ圏や英国など一連のPMI速報値がおおむね良好だったことに反応。ユーロドルは1.16台前半に下押しされる場面があったが、その後はPMIを受けて1.16台後半へと上昇。ポンドドルも1.34台前半に軟化したあとは1.34台後半に買われている。ドル円やクロス円は堅調な足取りを示している。ユーロ円は171円台後半での揉み合いを上放れ、172円台乗せへと上昇。ポンド円は198円台前半から199円台前半に買われている。ドル円は、クロス円での円売りと、米10年債利回り上昇のドル買いの双方を享受して147円台前半から148円手前水準へと買われている。欧州株や米株先物・時間外取引はマイナス圏で推移しており、あすのパウエル講演を控えて慎重姿勢。 NY市場は、予想を上回る米経済指標を受けドル高が優勢となった。特に8月の米PMI速報値が強かったことから、FRBの早期利下げ期待が後退。パウエル議長の講演を前にポジション調整の動きも強まり、ドル円は148円台を回復し一時148.40近辺まで上昇した。クックFRB理事の不正疑惑に関する報道で伸び悩む場面もあったが、買い戻しの動きは継続した。一方、ユーロドルは1.16ドルちょうど付近へ、ポンドドルは1.34ドル台前半へそれぞれ下落。ユーロ圏のPMIは予想を上回ったものの、ユーロ買いの反応は一時的だった。ポンドは英国の厳しい財政見通しを背景に中期的な下落の可能性も指摘されている。 (22日) 東京市場は、ドル買いが先行した。前日NY市場での流れが継続している。ドル円は148円台前半から買われ、午後には148.78近辺に高値を伸ばした。その後は調整売りが入っているが148円台半ばまでとドル高水準は維持している。ドル買い圧力はユーロドルにもみられ、1.16台前半から1.15台後半へと軟化している。ポンドドルも1.34台前半から1.33台後半へ小安く推移した。クロス円は上下動。ユーロ円は172円台半ばに買われたあとは172円トビ台へと反落。ポンド円は198円台後半から199円台前半で上に往って来い。パウエル講演待ちとなるなかで、日経平均前日終値付近で揉み合った。 ロンドン市場は、やや円安の動き。ドル円は148円台半ばから後半へ、ユーロ円は172円手前から172円台半ばへ、ポンド円は199円割れ水準から199円台半ばへと上昇。ポンド円がやや上値を広げたほかは、東京市場からのレンジ内でにとどまっている。東京午後の円買いの動きに調整が入る程度。ドルストレートではドル買い一服。ユーロドルは1.15台後半から1.16付近へ、ポンドドルは1.34割れ水準から1.34台乗せ水準へと買い戻されている。円相場とともに方向性に欠ける売買となっている。ユーロ対ポンドでは、ややユーロ売りも値幅は限定的。日本時間午後11時から始まるジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演待ちとなっている。欧州株や米株先物・時間外取引は小幅高での揉み合い。この日発表された第2四半期ドイツGDP確報値はやや下方改定されたが、市場は反応薄だった。 NY市場でパウエルFRB議長のジャクソンホール会議での講演を受けて一気にル安円高となった。議長は、インフレの上振れリスクについての警戒を示しつつも、雇用市場の下振れリスクに言及し、金融政策スタンスの調整が必要になる可能性に言及。昨年の「(利下げの)時が来た」ほどはっきりした表現ではないものの、利下げを示唆する発言を行った。発言前まではドルはややしっかりとなっていたが、流れが一変。ドル円は148円50銭台から146円58銭までと約2円の急落。安値を付けた後、147円00銭前後が重くなるなど、ドル安円高基調が継続。住宅ローンの不正疑惑でトランプ政権から辞任要求が出ている米FRBのクック理事について、大統領が辞任しないのであれば解任すると発言したことも、中銀の独立性への警戒からドル売りとなった面がある。ユーロドルは1.1600前後から1.1743まで上値を伸ばし、ポンドドルも1.3420前後から1.3544まで上昇している。日米金利差縮小期待もあり、ドル円での反応が最も大きく、クロス円は円高。ユーロ円は発言前に172円68銭を付けていたが、171円80銭台まで売りが出た。ポンド円も199円50銭前後から198円33銭を付けている。 MINKABU PRESS
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