【前週までのレビュー】1月限は、上値を追って買う材料が見当たらないことから、弱 もち合いになるとみた。また、中長期的には、世界的な景気減速懸念がある一方で、天 然ゴムの供給不安が見られない。需給は徐々に緩和し、レンジが切り下がる可能性が高 いとした。 【目先は弱もち合いもタイが増産期に入るため売り圧力が強まる可能性】 JPXゴムRSS3号の活発限月1月限は、20日に310.0円まで下落し、それ までの315〜325円前後のレンジ相場から下放れたかに見えたが、26日に32 4.9円まで上昇し、315〜325円前後のレンジ相場に戻っている。ただ、その後 は売りが優勢となっている。ゴムのファンダメンタルズには、大きな変化はない。積極 的に買い進む材料が見当たらないことから、目先は弱もちあいが予想される。今年の産 地の天候は、例年通りが見込まれている。産地タイでは、秋に増産期に入ることから、 中期的には、売り圧力が強まる可能性がある。 【米長短金利差のスティープ化に注意】 米トランプ米大統領が25日、クック米連邦準備制度理事会(FRB)理事を直ちに 解任すると表明した。これを受けて、米金融市場は、FRBの独立性を巡る問題が再燃 した。この結果、ドルが売られ、ゴールドはニューヨーク金、ドル建て現物相場(ロ コ・ロンドン価格)とも3400ドル台に上昇した。米株市場は、28日にS&P50 0とダウ平均株価が最高値を更新しており、現時点では動揺は見られない。ここまでの 動きは、トランプ米大統領がFRBに介在することで、利下げが早まるとの思惑が反映 されている。株高自体は天然ゴム相場にとって支援材料になる。ただ、今後、注意した いのは利下げ期待から短期金利が低下する一方で、長期債は米国の先行きに対する不透 明感から金利が下げ渋り、長短金利差が拡大(スティープ化)するケースだ。この場 合、米国売りに繋がる可能性あるうえ、為替市場では日銀の利上げ期待もあり、円高に 振れやすくなる。JPXゴムRSS3にとっては弱材料となる。また、長短金利差のス ティープ化は、貸出金利が高止まりを招くため、米株にとっても弱材料になる。今後、 米長短期金利差には一段の注意が必要だ。 【上海ゴムのレンジ放れに注目】 上海ゴムの中心限月の1月限は、レンジ放れに注目したい。1月限は、7月28日か ら6営業日連続陰線となり、8月4日には1万5075元まで下落した。その後、一目 均衡表の雲の上限が支持となり、反発を開始すると、15日には1万6000元まで一 時上昇した。その後、ザラ場では4営業日1万6000元を上抜くが、終値では1万6 000元を維持できずにいる。下値は1万5500元付近が支持となっており、現状、 1万5500〜1万6000元前後でのレンジ相場となっている。目先、同レンジから どちらに放れるかが焦点となる。 ただ、ゴムのファンダメンタルズから積極的な買い材料が見られないうえ、4月以 降、1万6000元超では戻り売りを浴びていることを考えると、売りが出やすい展開 が予想される。節目の1万5500元をしっかり割り込むと、4日の安値1万5075 元を目指すとみる。 【東京ゴム活発限月の1月限のテクニカル要因】 ゴムRSS3号の活発限月の1月限は、やや売り優勢となっている。8月に入ってか らの値動きを確認すると、8月4日に311.6円まで下落。6日に324.9円まで 戻したが、325円の手前では戻り売りを浴び、7日には薄商いの中、305.3円ま で急落した。だが、すぐに戻すと14日には325.9円まで水準を引き上げた。その 後、徐々に上値が重くなり、20日には310.0円まで軟化した。その後、上海高を 手掛かりに26日に324.9円まで上昇したが、同水準では戻り売りを浴び、29日 には315円付近まで軟化している。 売りが先行すれば20日の安値310.0円が最初の関門。同水準を割り込むと、7 日の安値305.3円や節目の300円がターゲットになる。一方、買い優勢となれ ば、14日の高値の325.9円がポイントになりそうだ。同水準を突破すれば、節目 の330円や7月28日の高値334.6円を意識した展開になるとみる。 【今週の注目ポイント】 上海ゴムのレンジ放れに注目したい。中心限月の1月限は、8月中旬以降、1万55 00〜1万6000元前後でのレンジ相場となっている。直近の値動きは、上攻めをし ているが、いずれも1万6000元前後で切り返されている。目先、上値の重さを嫌気 して、下攻めとなる可能性がある。 【相場予想レンジ】 9月1〜5日のJPXゴムRSS3号1月限の中心レンジ予想は305〜330円前 後。テクニカルの支持線は310円(節目)、抵抗線は325.9円(8月14日高 値)。 MINKABU PRESS ※投資や売買は御自身の判断でお願いします。
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