貴金属4品週間見通し=米利下げ観測と財政悪化懸念でNY金は高値圏を維持

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金12月限は8月20日以降は上値探りとなり9月2日に3602.4ドルを記
録。翌3日も3640.1ドルに達し、連日の一代高値更新。その後、反落に転じたが
終値で3600ドルを維持する堅調な値動きが続いている。
 米国ではトランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)のクック理事の解任に
よりFRBの独立性と大統領権限の領域を巡る混乱が高まっている。加えてトランプ政
権による関税政策の大部分は違法との判決が出たことを受け、米財政不安も強まってい
る。
 これまでのところ、トランプ関税については8月29日に一審判決に続いて連邦控訴
裁判所が違法判決を下している。トランプ大統領は最高裁に迅速審理を求める意向を明
らかにしているが、最高裁の判断には不透明感が強いことが米財政不安を強めている。
 その一方で4日に発表された米雇用統計は予想よりも強気であり、9月公開市場委員
会(FOMC)での利下げ観測が強まっている。
 5日に米労働省から8月の米雇用統計が発表される。7月時点では米雇用情勢は軟化
が懸念される状態が続いていた。雇用情勢が弱気であれば利下げにより物価が高止まり
するリスクが無事に消化されるか見通しがつかないため、米利下げ観測は後退する一方
で米財政に対する警戒感が強まる。また、雇用統計が強気であればインフレ加速化を消
化し経済成長を継続できる見通しが強まるため、利下げ観測が強まることになる。
 どちらの結果になったとしても金市場にとっては買い支援要因として意識される可能
性が高い。強気な投資環境のなか、NY金12月限は3600ドル台を維持し、高値圏
での高もみあいが想定される。
<銀>
 NY銀12月限は、NY金の上伸に追随高となり、9月3日に4229セントまで浮
上している。4000セントを強い上値抵抗線にして上値を抑制される動きが続いてい
たため、その反動もあって値位置を切り上げた。
 好調な米経済は工業用としての銀需要の増加期待を高める一方、米経済の停滞はドル
売りの動きを促し、銀市場の買い支援要因になってくる可能性がある。NY金の高止ま
りが見込まれるだけにNY銀の底意も強く4200セン前後での高下が続くのではない
か。
<白金>
 NY白金10月限はNY金12月限が3600ドル台に値を乗せる堅調となった動き
に追随し3日には1465ドルまで上昇していたが、続く4日には反落に転じている。
 4日の下落により2日から3日にかけての上昇分が相殺される大幅安となっており、
上昇に対する抵抗の強まりを窺わせる動きとなっている。
 需給面の新規要因に乏しいことが重石となり1400ドルを上値抵抗線にする動きが
見込まれる。
<パラジウム>
 NYパラジウム12月限は金に連動高となった後に急反落に転じている。安全資産と
しての需要が根強いなか値を落としたNY金とは市場を巡る環境は異なり、5日間移動
平均もわずかながら下抜いている。
 NY金の堅調を受けて下げ余地は限られる一方で値位置を切り上げる可能性も低く、
1140ドル前後でのもちあいへのシフトとなる可能性がある。
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