【前週のレビュー】ニューヨーク原油11月限は60ドル台維持が焦点だが、仮にその まま60ドル台を割り込むと、一代高値から78.6%押しに当たる58.23ドル辺 りまで下げ余地が拡大することになる。また14日には国際エネルギー機関(IEA) が月報を発表するが、相対的に弱気な見通しを発表するため、これが売り口実となる可 能性も考えておきたいとした。 【NY原油12月限は60ドル台割れから大きく崩れる】 ニューヨーク原油11月限は21日に納会するため12月限が指標限月となるが、そ の12月限も60ドル台を割り込み、下落場面では前回の当欄で予想したように14日 のIEA月報も弱材料視された。結局、16日には56.78ドルまで崩れた。なお本 稿執筆時の17日の午後にはさらにそれを割り込み、ここまでの安値は56.51ドル となっている。 一代安値の54.16ドルから一代高値の71.47ドルまでの上げ幅の78.6% 押し(57.86ドル辺り)をすでに割り込んでいることで、今後一代安値が売り方の 下値目標となって来そうだ。ただ目先の売られ過ぎ感も強まりつつあることや、11月 限は今後納会に向けて利食いの買い戻しが先行しそうなため、12月限もいったんは相 応の戻りも予想されるところ。いったん底入れする時間帯としては、21日の新月辺り がメドとなりそうだ。前回の新月である9月22日も押し目底を付けたあと戻してい る。 材料的には、ガザの停戦発効で中東の地政学的リスクの一つがひとまず落ち着くな か、中国のレアアース輸出規制強化を受けて、トランプ米大統領が同国に100%の関 税を課すことを示唆するなど、両国間の貿易摩擦激化懸念が浮上したことや、前述の IEA月報で、2026年の世界原油需給が日量400バレルの供給過剰となる見通し が発表されたことで売り圧力が強まった。 今後の展開としては、米中間の貿易摩擦激化懸念に引き続き注目する必要があるが、 17日に予定されている米ウクライナ首脳会談で、巡航ミサイル「トマホーク」の供与 が協議されれば、今後もロシアの石油施設攻撃が続きさらに同国からの原油や石油製品 の供給が細るとの見方が支援材料となり、目先の買い戻しの口実になり得るだろう。 一方、ハンガリーで米露首脳会談の実施も調整されており、トランプ米大統領は「2 週間以内」としている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値からは反落しているが、 まだ高値圏のもみ合いの範疇。 ドルインデックスは反落基調。98ポイント台後半から前半まで軟化してきた。 【インド、トランプ圧力でロシア産原油の輸入減少】 トランプ米大統領の印中に対するロシア産エネルギー産品の購入停止圧力は、少なく ともインドに関しては奏功してきたようだ。同大統領は15日、インドが近々にロシア からの原油購入を停止すると指摘した。これ対してインドは「国民の利益が最優先」と して、トランプ発言を否定も肯定もしていないが、インドの石油精製業者はすでにロシ ア産石油輸入を50%削減していると明らかにしている。 一方、中国は16日、ロシア産原油の輸入は「正当」として、米国による最近の措置 を「一方的ないじめ」と反発しいる。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である3月限はボリンジャーバンドの1シグマ(6万1520円辺 り)から−2シグマ(5万6970円辺り)を大きく割り込む水準まで急落している。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油12月限は下降中のボリンジャーバンドの−2シグマ(59.12 ドル辺り)に沿った下落のバンドウォークが続いている。 ブレント原油12月限もほぼ同様の展開。下降中のボリンジャーバンドの−2シグマ (63.23ドル辺り)に沿った下落のバンドウォークが続いている。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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