株価指数先物 【週間展望】―いったん利食いに伴うロング解消がコンセンサス

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、前週に日米欧の金融政策決定会合や日米・日中首脳会談などの重要イベントを消化したことで、本格化する決算発表を背景に個別企業の業績動向の影響を受けそうだ。また、先週はアドバンテスト <6857> [東証P]を筆頭に、半導体や人工知能(AI)関連株への物色が強まり、日経平均型優位の需給状況の中で日経225先物は1週間で3150円高と大幅に上昇した反動も意識されやすい。

 先週は週明けの10月27日に1270円高と大幅に続伸し、5万0500円台に乗せて終えた。28日にはいったん利益確定に伴うロング解消が入り反落したものの、5万円台での底堅さがみられ、29日には5万1500円台、31日には4ケタの上昇で5万2530円まで買われる場面もあった。

 日経225先物は、上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σと+2σによるレンジ内でのトレンドを継続しており、先週は+2σに沿って上昇基調が強まった。31日には+2σ(5万2450円)を上回って終えており、いったんは調整が意識されやすいだろう。ナイトセッションで+2σは5万2870円まで切り上がり、方向性としては上向きのトレンドが続くものの、決算による影響次第では調整が強まる展開も想定しておきたい。

 31日の米国市場では、好決算を発表したアマゾン・ドット・コムが10%近く急伸したことが相場を牽引し、主要な株価指数が上昇した。ただ、アマゾン・ドット・コムの上昇については時間外取引での強い動きで織り込まれている。また、31日の取引終了後に決算を発表した東京エレクトロン <8035> [東証P]は通期予想を上方修正したが、コンセンサスの範囲内である。レーザーテック <6920> [東証P]の第1四半期(7-9月)業績は予想を上回る進捗だったが、通期計画を据え置いているため、市場の反応が限られる可能性もある。

 半導体やAI関連株への物色の流れが一気に反転する可能性は考えにくいが、前週の大幅上昇に対する利食いの流れが強まるようだと、先物市場でも利益確定に伴うロングの解消が入りやすくなりそうだ。日経225先物はナイトセッションで5万2670円まで買われた後に軟化し、5万2090円まで売られる場面もあった。その後、終盤にかけて切り返しているが、祝日取引では5万2300円~5万2500円辺りでの推移をみせている。

 週足では+2σ(5万1430円)を上抜けて+3σ(5万4460円)とのレンジに入った。ただ、今週は+2σが5万2890円辺りに切り上がっており、祝日取引で同バンドを下回って推移している。まずはロング解消の動きを想定しつつ、5万2000円処での底堅さを見極めることになりそうだ。直近の大幅上昇によって買い遅れているファンドなどが先物でヘッジする動きもあったとみられ、目先的にロングを外してくる動きがありそうだ。

 もっともパッシブファンドなどで、半導体やAI関連株の比率を高めるため、バリュー株のポジションを圧縮して買い手当てする動きもあったのだろう。NT倍率の上昇をみてもこの動きは顕著に表れており、一気に逆流するとは考えにくい。そのため、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせることになろう。

 日経225先物は5万2000円処での底堅さを見極めつつ、+2σでの攻防を想定。同バンドを突破し5万3000円を捉えてくる局面では、5万4000円水準へのバイアスが強まる可能性は意識しておきたい。一方で、5万2000円を割り込んでくると、前週の上昇に対する調整により、+1σ水準まで下げてくることも考えられ、下へのバイアスが強まることになろう。

 そのため、オプション権利行使価格の5万1875円から5万2875円のレンジを想定。上へのブレイクでは5万4000円、下にブレイクとなれば5万1000円辺りへバイアスが強まるとみておきたい。

 31日の米VIX指数は17.44(30日は16.91)に上昇した。週間(24日は16.37)でも上げている。27日に一時15.62まで下げる場面もみられ、75日移動平均線(16.47)を明確に割り込んだ。これにより10月半ばの急伸分を帳消しにし、その後は同線を挟んだ攻防のなかで、25日線(17.93)とのレンジ内での推移が続いた。ボトム水準からのリバウンドであり、リスク選好に向かわせやすい状況は続いている。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で15.73倍(30日は15.54倍)に上昇した。週間(24日は15.06倍)でも上昇だった、29日にはアドバンテストがストップ高で日経平均株価を1077円押し上げるなど、日経平均型に極端に振れる形だった。先週は+1σ(15.03倍)水準から始まり、その後の急伸で週末には+2σ(15.70倍)を上回ってきた。2021年2月高値の15.68倍を突破してきたため、+2σを割り込んでくる局面では、いったんはNTロングの巻き戻しが入りやすくなりそうだ。ただし、半導体やAI関連への資金流入が明確に変化をみせてくるまでは、押し目でNTロングを組成する動きに向かわせよう。

 10月第4週(10月20日-24日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの買い越しであり、買い越し額は6335億円(10月第3週は2581億円の売り越し)だった。なお、現物は6436億円の買い越し(同1532億円の買い越し)と4週連続の買い越し。先物は101億円の売り越し(同4114億円の売り越し)と2週連続の売り越しだった。個人は現物と先物の合算で5178億円の売り越しと2週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1080億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越しだった。

 主要スケジュールでは、11月3日に米国10月ISM製造業景気指数、4日に米国9月貿易収支、5日に日銀金融政策決定会合議事要旨、米国10月ADP雇用統計、米国10月ISM非製造業景気指数、6日にイングランド銀行(BOE)政策金利、7日に9月全世帯家計調査、中国10月貿易収支、米国10月雇用統などが予定されている。ただし、米国では政府機関の一部閉鎖が長期化しているため、経済指標の一部は公表が遅れる可能性がある。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82
09月限 日経225 45016.28  TOPIX  3175.61
10月限 日経225 48779.14  TOPIX  3241.66

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 10月31日  51550  52530  51300  52470  +1010
25/12 10月30日  51370  51710  50810  51460  +130
25/12 10月29日  50380  51530  50290  51330  +870
25/12 10月28日  50630  50680  50160  50460  -130
25/12 10月27日  49210  50630  49190  50590  +1270

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 10月31日  3313.5  3352.0  3311.5  3334.0  +24.0
25/12 10月30日  3279.5  3316.0  3268.5  3310.0  +32.5
25/12 10月29日  3290.5  3313.5  3275.5  3277.5  -17.5
25/12 10月28日  3333.0  3333.0  3286.0  3295.0  -36.5
25/12 10月27日  3268.0  3333.0  3266.0  3331.5  +58.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
10月31日(12月限) 52295 -175
10月30日(12月限) 51330 -130
10月29日(12月限) 51100 -230
10月28日(12月限) 50695 +235
10月27日(12月限) 50485 -105
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い      前週末比
10月24日     12億円  -499億円  2兆4549億円  +2932億円
10月17日    511億円  +489億円  2兆1617億円  -4271億円
10月10日     22億円 -2058億円  2兆5888億円  +3076億円
10月03日    2080億円  +538億円  2兆2812億円  -3067億円
09月26日    1542億円  +599億円  2兆5880億円  +1936億円
09月19日    942億円  +211億円  2兆3944億円  +2765億円
09月12日    731億円 -3021億円  2兆1178億円  -239億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
10月29日     55万株    ±0万株  8億6497万株   -2788万株
10月28日     55万株    ±0万株  8億9286万株   -8064万株
10月27日     55万株    ±0万株  9億7350万株   -5999万株
10月24日     55万株    ±0万株  10億3350万株   -1008万株
10月23日     55万株    -14万株  10億4358万株   -770万株
10月22日     69万株    +14万株  10億5129万株   +3904万株
10月21日     55万株   -805万株  10億1224万株   +4138万株
10月20日    861万株   -347万株  9億7085万株   +2248万株
10月17日    1208万株   +475万株  9億4837万株   -3524万株
10月16日    732万株    +65万株  9億8361万株   -3500万株
10月15日    667万株   +445万株  10億1861万株   -1035万株
10月14日    222万株   +144万株  10億2896万株   -5286万株
10月10日     78万株   -173万株  10億8183万株   +3931万株
10月09日    251万株   -228万株  10億4251万株   +2621万株
10月08日    479万株   -2314万株  10億1630万株   +742万株
10月07日    2793万株   -587万株  10億0888万株   -543万株
10月06日    3380万株   -1638万株  10億1431万株   +399万株

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