【前週のレビュー】ニューヨーク原油12月限は修正安含みとなり、ここまでの安値は 59.64ドル。このまま戻せば、61.8%戻しから38.2%戻しまでの修正安後 の反発局面という非常に分かりやすいものとなる。日柄的にも30日の上弦に押し目底 を付けて、来月の5日の満月に向けて上昇するというイメージに合致したもの。今回の 上昇波がエリオット波動の第3波であれば、少なくとも24日の高値62.59ドルを 上抜くような上昇が期待できるとした。 【NY原油12月限はもみ合いレンジ下限を割り込む】 ニューヨーク原油12月限はイメージ通りにはならず、9月26日の高値65.77 ドルから10月20日の安値55.96ドルまでの下げ幅に対する38.2%戻し (59.71ドル辺り)〜61.8%戻し(62.02ドル辺り)のエリアでのもみ合 いが続いていたが、直近はその下限を割り込み6日には58.83ドルの安値を付け た。本稿執筆時点の7日の午後には59ドル台後半まで戻しているが、さらに一段安と なれば、23.6%戻しの58.28ドルが下値目標となる。このまま二番底を試しに 行くか否かに目先は注目したい。 材料的には、まず2日に実施された石油輸出国機構(OPEC)プラスの主要8カ国 がオンライン会合では、予想通り12月に日量13万7000バレル増産することで合 意したが、主要産油国が来年1〜3月期の増産を見送ると発表したことが好感された。 また複数の米メディアがトランプ米大統領が中米産油国のベネズエラを攻撃する計画 があることを報じている。現在のところ同大統領は否定しているが、予断を許さない状 況。仮に攻撃が実施された場合、短期的には産油国の地政学的リスクで原油相場は跳ね 上がる可能性もあるが、ドルや米株の値動き次第では圧迫要因となる可能性もある。中 長期的には現在制裁を受けているベネズエラ産の原油や石油製品が世界市場に戻って来 る可能性が高まるため、現在懸念されている世界的な供給過剰見込みにさらに拍車をか けることになりかねず圧迫要因になる可能性が高いだろう。 またあまり材料視されていないが、ウクライナの断続的なロシア石油施設攻撃によ り、ロシアの石油産業は壊滅的な被害を受けている。ウクライナ保安局(SBU)によ ると、被害を受けたロシア石油関連施設は160カ所にのぼり、ロシアの全精製能力の 37%が失われたという。このような状況のため、ロシアは石油製品の輸出を停止して いるが、供給が需要を20%下回って供給難が深刻になっている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値からは反落してきたが、 まだ高値もみ合いの範疇での動き。 ドルインデックスは一時100ポイント台に乗せる騰勢となっていたが、直近は99 ポイント台後半まで軟化している。 【3機関の月報発表で目先売られやすくなる可能性も】 11月10日からの週には、12日にOPEC、米エネルギー情報局(EIA)、 13日に国際エネルギー機関(IEA)と、3機関の月報が発表されるが、OPECを 除くと、弱気な需給見通しが発表される可能性が高い。先月もIEA月報が弱気されて 売られる展開となった。このようなことで目先売りバイアスがかかりやすくなる可能性 も考えておきたい。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である4月限はこのところボリンジャーバンド1シグマ(6万 09900円辺り)を上値抵抗とする展開が続いていたが、7日は下落して一時6万円 の節目を割り込み、21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(6万08 60円辺り)を試した。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油12月限もボリンジャーバンド1シグマ(61.06ドル辺り)を 上値抵抗として、4営業日連続の陰線引けとなり、6日にはボリンジャーバンドの中心 線(59.48ドル辺り)を割り込んだ。 ブレント原油1月限もほぼ同様の展開。65ドルの節目に近いボリンジャーバンド1 シグマ(64.80ドル辺り)を上値抵抗として、4営業日連続の陰線引けとなり、6 日にはボリンジャーバンドの中心線(63.26ドル辺り)を割り込んだ。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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