金の現物相場は、米国とイスラエルがイランを攻撃したことを受けて1月30日以来 の高値5417ドルを付けたが、ドルが安全資産として買われると、利食い売りなどが 出て調整局面を迎えた。トランプ米大統領が戦争の早期終結見通しを示すと、下げ止ま る場面も見られたが、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖し、原油高に対する懸念が高 まると、金利上昇を受けて売り圧力が強まり、昨年11月以来の安値4103ドルを付 けた。テクニカル面で中長期の節目となる200日移動平均線(24日4106ドル) を試したが、安値から離れ、25日のアジア時間の午前中に4500ドル台を回復して いる。米大統領は21日、イランが48時間以内にホルムズ海峡を開放しない場合、発 電所を壊滅させるとしたが、23日にはイランとの協議で発電所への攻撃を5日間延期 すると表明した。 トランプ米大統領はイラン戦争について、イランの弾道ミサイル排除や海軍破壊、核 兵器開発の放棄、テロ組織への武器・資金の提供停止という4つの目標を示した。ただ イランの新たな最高指導者にハメネイ師の次男モジタバ師が選出され、イスラム共和国 の体制が継続された。最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長などの要人がイスラエ ルの空爆で死亡し、対話できる人物がいなくなったとの見方も出ているが、イランの議 員らが米国との交渉を拒否しており、イラン戦争が長期化すると懸念が高まった。一 方、イランが湾岸諸国のエネルギー施設を攻撃したことでサウジアラビアが米国のイラ ン攻撃に参加する可能性が出た。イランが孤立化し、戦争終結が早まるようなら、金の 下支え要因になるとみられる。ただ米軍が中東に数千人の海兵隊員や海軍兵士を追加派 遣する計画が伝えられており、地上戦になるようなら泥沼化する可能性もある。ただ 24日のニューヨーク時間の午後にイスラエルのメディアが「米国とイランの間で1カ 月間の停戦メカニズムを確立するための外交努力が進行中」と報じると戦争終結期待が 急速に強まり、25日のアジア時間は原油相場が反落、金が急上昇となっている。 【米FOMCで金利据え置きも各国の金融政策を確認】 17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金 利の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置くことが決定された。また最新の金利・ 経済見通しで、インフレ率上昇が示され、年内の利下げ回数は1回にとどまるとの見通 しを維持した。2月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、前月の伸 び率と一致したが、3月は原油高を受けてインフレが予想されている。イラン戦争によ る原油高騰を受けてインフレ懸念が高まっており、当面は金利据え置きが続くとみられ ている。一方、オーストラリア準備銀行が17日の会合で政策金利を25ベーシスポイ ント(bp)引き上げ、4.10%とすることが決定された。1月のオーストラリアの CPIは前年比3.8%上昇し、事前予想の3.7%を上回った。原油高が続くと、ニ ュージーランド準備銀行も7月に利上げするとみられている。各国の金利上昇が続くよ うなら金の上値を抑える要因になるとみられる。 【金ETFから投資資金が流出】 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、3月23 日に1056.99トン(2月末1101.33トン)となった。調整局面を迎えるな か、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告に よると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは3月17日時点で15万 9869枚(前週16万3132枚)となった。安全資産のドル買いで売り圧力が強ま った。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行) *25日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。
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