【NY金の中東情勢不安に加えロシアの輸出制限を受けたエネルギー高が重石】 NY金8月限は6月30日に3955.4ドルまで値を落とした。7月に入り反発 し、6日に4215.5ドルまで反騰となった。13、14日に再度、4000ドル割 れとなり、安定感を欠いているが、15日は4060.5ドルで終えるなど、終値で 4000ドル割れはなく、押し目買いで底堅い動きが続いている。 6月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比は前月に記録した+4.2%を下回 る+3.5%と、事前予想の+3.8〜3.9%以下にとどまった。CPIの鈍化を受 けて米国のインフレ高止まりに対する懸念が緩和されて米利上げ観測が後退し、14日 のNY金市場での買い支援要因となった。 しかし、7月に入ってからは米国とイランとの間で戦闘の応酬が続き、米国によるイ ランの港湾封鎖が再開され、イランへの新たな攻撃が開始されたと発表されている。こ れにより米国によるイランへの攻撃は5日連続となり、中東情勢不安がさらに高まって おり、NY原油は80ドル台前後まで浮上している。 トランプ米大統領は10日に自身の運営するSNSにイランとの停戦は終わったとい う事実をイラン側に伝えた、と投稿した。これにより米国とイランの戦闘の応酬の激化 が懸念されるものの、トランプ米大統領がイラン側が米国との対話継続を求めた、とも 伝えたことで、米国とイランの協議再開期待が強くNY原油の上値は重い。 中東情勢に加え、ロシアではウクライナのドローン攻撃の影響で、ロシアの製油所の 原油処理量は21年ぶりの低水準となる日量380万バレルまで低下していると伝えら れている。ウクライナによるドローン攻撃は今後も続けられることが見込まれるだけに ロシアの製油能力の大幅な回復は見込み難い。 ロシア国内の石油精製能力の低下を受けて国内で精製できなくなった原油の輸出が増 加していることで世界的に原油供給の需給緩和が促されているが、その一方では国内の 供給引き締まり懸念からロシアは7月8日から7月末にかけてディーゼル燃料(軽油) の輸出を禁止しており、これが軽油価格急騰を促している。 中東情勢不安に加え、ロシアの軽油輸出禁止措置により、6月には緩和していたエネ ルギー価格も7月には上昇しており、これが7月の米消費者物価指数(CPI)を再び 押し上げる可能性がある。 6月のCPIはインフレ低下を示す内容だったが、一時的な傾向にとどまる可能性が あるばかりか、中東情勢不安の高まりにロシアからの石油製品供給引き締まりが加わっ た状態が長期化するようであれば、エネルギー価格はさらに値位置を切り上げる恐れが ある。 CMEのFedウォッチでは今年12月時点で利上げを見込む比率は73.4%と依 然として年内利上げを見込む向きが圧倒的となっている。 NY金8月限が4200ドルを上値抵抗線として高下しているのは、原油価格が再び 上昇していることによりインフレ率が押し上げられ、これが利上げ観測を支える根拠と なる可能性を考慮したうえでの動きであるが、今後も同様の動きが続くと予想。なお、 16日に6月の米小売売上高が発表される。強気な数字であれば利上げ観測を支える根 拠となり得るため、どのような発表となるかが注目される。 MINKABU PRESS
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