【これからの見通し】米中貿易戦争への警戒と米利下げ期待で市場は混とんと 東京市場ではドル円の上値が重い展開となっており、108円台前半へと再び軟化している。日経平均は74円安と4日ぶりの反落。香港・上海株が売りに押されており、原油相場も下落。リスク警戒感が再び台頭している。G20での米中首相会談が期待されていたが、両国とも依然として強硬な姿勢を崩していない。この話題に関連して、トランプ大統領や中国政府の一挙手一投足に市場心理が揺り動かされている。今日発表された中国の5月生産者物価指数の伸びが前回4月の+0.9%から+0.6%へと鈍化しており、中国の生産活動の減速が意識された面もあったようだ。中国のレアアースや不動産安定化などの報道も不透明感を広げるものとなっている。 一方で、市場では年内の米利下げ観測が高まっている。米債利回りは、株高局面で上昇するものの、基調は低下傾向を示している。足元では米10年債利回りが2.14%台から2.12%台へと低下している。トランプ米大統領は昨日のNY序盤に、対ドルでのユーロ安は米国にとって不利益だ、米FRBの政策金利は高過ぎるなどと発言しており、ドル安圧力を誘引する内容となっていた。 混とんとした市場環境となるなかで、きょうは欧州と米国の材料が注目される。欧州ではドラギECB総裁をはじめとして、デギンドスECB副総裁、クーレECB理事などがフランクフルトで講演を行う予定。直近のECB理事会では現行の金利水準を2020年上半期末まで据え置くと、フォワードガイダンスの延長を行った。ただ、市場では一段の緩和措置を期待していたことから直後にはユーロ買いの反応がでていた。一方、昨日のレーン・フィンランド中銀総裁の発言では、必要であればフォワードガイダンス強化、利下げ、QE再開も、マイナス金利の調整(階層化)もあり得る、としており、再びハト派色が打ち出されていた。昨日のユーロ相場に関するトランプ発言が加わり、ユーロ相場は神経質な動きをみせそうだ。 米国では米消費者物価指数(5月)が発表される。昨日の生産者物価指数は、ほぼ事前予想通りとして市場は反応薄だったが、きょうの消費者物価指数はどうか。事前予想では、前月比+0.1%、前年比+1.9%と前回から伸びが鈍化する見込み。食品エネルギー除くコア指数は、前月比+0.2%と前回の+0.1%から伸びが加速、前年比は+2.1%と前回と同水準の伸びが予想されている。市場の関心は、利下げ開始のタイミングが6月と7月どちらになるのかに集まっているもよう。予想を下回る結果となれば、早期利下げ観測が高まりそうだ。 原油相場が下落しており、今日発表される米週間石油在庫統計も注目される。また、債券関連では、米10年債入札(240億ドル)が実施される予定。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
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