【NY金12月限は米長期債利回りが米雇用統計を相殺、引き続き頭重く高下】 NY金12月限は大きく下落した先月28日以降は4200ドルを抵抗線とするもち あいとなっていたが、7日の取引で大きく値を落とし、一時4091.2ドルと8月3 日以来の水準まで下落。安値で買い戻されたものの、終値ベースで8月3日以来の安値 を記録した。 今月2日に発表された9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の前月からの増加幅 は事前予想の9万人を大幅に下回る2.9万人にとどまったうえ、平均需給の前月比も 8月時点の+0.3%から+0.1%に低下し、事前予想の+0.3%も下回り、米雇 用情勢は停滞の可能性を示唆する内容となった。 弱気な米雇用統計により米連邦準備理事会(FRB)による10月の利上げ観測は後 退。利上げ観測の後退がNY金市場の強気材料となり、12月限は4259ドルまで浮 上する場面も見られたものの、堅調な動きは一時的なものにとどまった。そればかり か、その後6日には4130.7ドルと8月4日以来の低水準まで値を落とす場面が見 られるなど、頭の重さが意識される動きが続いている。 通常であれば金は金利により下げ器が生まれないため、利上げ観測の後退は金市場に とって買い支援要因となる。それにもかかわらずNY金が8月4日以来の安値を含め、 頭重い動きが続いているのは、米長期債の利回りが引き続き高止まりしていることが背 景となっている。 米長期債の利回りは8日時点で10年債が5.3%台、30年債は2002年以来の 高水準となる5.6%台で推移している。米長期債の利回り上昇は引き続き原油価格の 高止まりによるインフレ高進の可能性や、米財政悪化懸念、人工知能(AI)関連企業 による社債発行により促されている資金シフトの動きが背景となっている。 原油価格に関しては、米国とイランとの間でホルムズ海峡の開放や戦闘停止に向けた 協議が進展する可能性が見られるなか、NY原油11月限は9月15日に101.69 ドルまで浮上した後に軟化するなど、10月を迎えてからは9月の価格帯よりも位置を 落とした水準での高下となっている。 8月を終えるまでは80ドル台後半が上値のメドとなっていたことを考慮すると、現 行水準はこれまでよりも高水準で高下していることとなり、9月以降は原油価格高を背 景としてインフレ高進促されると予想される状況にある。 これに加え、トランプ米政権による一律関税、世界的な人工知能(AI)需要の増加 を受けた半導体の需給引き締まりと電子機器類の価格上昇など複数の要因が物価の上昇 を促す要因となっているだけに、米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%へとイ ンフレ率が低下する見通しがたたない状況が続いている。 なお、原油価格に関しては米国とイランと協議進展の可能性や米国の弾薬の備蓄不足 や供給遅れが指摘されていることでこの先は戦闘が長期化する可能性が低いと見られる ことから、今後は軟化に転じる可能性がある。 11月に中間選挙を控えている米トランプ政権にとって、米国とイランとの話し合い の進展が選挙結果に影響を及ぼす可能性があるため、米国・イラン間での協議の進展が 促される可能性もある。しかし、現在のインフレ高進は複数の要因が原因になっている ため原油価格のみの軟化によってFRBの目標達成に向かう可能性は低い。目先は 14日に発表される9月の米消費者物価指数(CPI)が注目されるが、高インフレ環 境が継続していることやこれが米長期債の利回り上昇を促している状況からNY金は引 き続き上値の重い動きが続くと見られる。 注意すべきは投機筋の動きで、9月29日時点から10月8日にかけて取組高が減少 していることは、下落時に手仕舞い急ぎの売りを促された可能性があることを示唆して いる。米長期債の利回りの動向次第では金市場を離れた資金が再び流入してくる可能性 があるが、NY金は引き続き4200ドルを上値抵抗線にしての低迷が続きそうだ。 MINKABU PRESS
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。