リスク回避の雰囲気でドル円は戻り売り強まる=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY市場はリスク回避の雰囲気が強まり、為替市場もドル高・円高の動きが優勢となった。トルコリラは買い戻しが続いており、リスク回避の雰囲気を強める直接の理由は見当たらない。ただ、トルコ政府は米国への強硬姿勢を強めており、米国側も追加制裁の可能性を示唆している。トルコ当局の金融安定化措置もあり、リラは一旦落ち着いているものの緊張感は持続しているようだ。

 米中貿易問題も依然として不透明感が強い。きょうは中国IT大手の決算が弱く中国株が下落したこともその雰囲気を助長している。また、金属市場で銅が急落したことも圧迫要因となった模様。中国経済への不透明感が強まっている証拠でもある。

 ドル円はこの日がゴトウビだったということもあり、東京時間には一時111.40円近辺まで上昇し、21日線をうかがう展開も見られていた。しかし、NY時間に入って米株や米国債利回り、そして原油が急落する中、その上値を拒まれた格好。

 夏休みシーズンで市場参加者も少ない中、短期筋の利益確定売りが圧迫し、一時110.45円付近まで下落。高値から100ポイント下落したが、カタールがトルコに対して150億ドルの直接投資を確約と伝わったことで下げ渋る動きも見せた。目先の下値サポートは110.25円付近と、心理的節目で200日線も控える110円ちょうどの水準が意識される。

 一方、ユーロドルは序盤は売りが先行し節目の1.13ドルちょうど付近まで下落する場面も見られたものの、カタールの直接投資の報道でショートカバーが強まった。1.13ドル台半ばまで戻している。

 ただ、トルコなど新興国への懸念が緩和したとしてもユーロの戻りは限定的で下落トレンドに変化はないとの見方は少なくない。下値目標を1.10ドルで設定する向きも出て来ているようだ。景気回復が弱く、ECBも慎重な出口戦略を継続すると見られており、FRBとの金融政策の格差拡大がユーロドルの重しとなることが続く見られている模様。オプション市場でも下値をヘッジする動きが高まっている状況だ。今回のトルコ危機によるユーロ売りはあくまで、レンジを下抜けるきっかけとも指摘されている。

 ポンドも下げ渋ったものの上値の重い展開が続き、ポンドドルは1.26ドル台での推移が続いた。リスク回避の雰囲気が強まる中、ポンドも下値模索が続いている。ロンドン時間に7月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、前年比2.5%となっていた。一部からはこの先数ヵ月の英CPIは鈍化するとの見方も出ている。エネルギー高の影響が緩和するほか、ポンド安の影響も次第に剥落してくるという。

 もし、そうであれば英中銀の年内の利上げはない可能性が高まる。専ら市場はEU離脱の行方に関心が集中することも予想される。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美 

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