きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となったほか、午後に入って円売りの動きも出ていた。前日に引き続きトルコ懸念がひとまず一服している。銀行への流動性供給や為替介入などトルコ当局の市場安定化措置で市場も一旦落ち着きを取り戻しているようだ。午後になると、買い戻しが一服していたトルコリラが買い戻しの動きを再び加速させ、円安の動きも出ていた。 しかし、根本的に問題が解決したわけではなく、トルコのエルドアン大統領が米電子機器をボイコットするなど対決姿勢を鮮明にしている。「トルコに攻撃を仕掛ける者はコストを支払うことになる」などと述べていた。なお懸念は根強くあるものと思われる。米国は牧師を解放しなければ追加制裁の構えも見せているようだ。 トルコへの懸念が一服してもシナリオはドル高。米企業決算も堅調でファンダメンタルズに意識が戻ればドルが最も魅力的ということなのかもしれない。また、今回の件で新興国からドルへの資金の流れはしばらく続くことが予想される。 ドル円はロンドン時間に111円台を回復していたものの、NY時間の序盤には110円台に伸び悩んでいた。しかし、トルコリラの買い戻し加速とともに、ドル円も買い戻しが強まり、ストップを巻き込んで111.30円近辺まで上昇した。21日線が111.45円付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。 ドル円に関しては明日の日銀の国債購入に注目が集まっているようだ。5年超から10年と10年超の超長期の国債のオペが予定されている。先日の決定会合で日銀は、ゼロ近傍に目標を設定している10年債利回りの値動きの許容範囲を0.2%程度まで拡大する方針を示唆した。場合によっては今回のオペは購入額を減額するのではとの憶測が市場に出回っている。 ただ、一部からは10年債で0.1%が一つの目安となっており、その水準を下回っているようなら減額の可能性もあるとの見方も出ている。しかし、きょうの10年債は0.1%付近での推移となっている。また、トルコリラの急落で市場がやや不安定になっており、やりにくい面もありそうだ。 一方、ユーロドルは売りが加速し、1.1330ドル付近まで一時下落。ロンドン時間には買戻しも出て1.14ドル台を回復していたものの失速している。夏休みシーズンで商いは短期筋が中心とも思われるが、1.14ドル台が重く、前日高値の手前で上値を止められたことから、一旦見切売りが強まったのもしれない。昨年7月以来の低水準。 ポンドも売りが強まり、ポンドドルは1.27ドルちょうど付近まで一時下落した。ただ、この日発表の英雇用統計でILO失業率は4.0%まで低下している。ファンダメンタルズは好調なもののポンドの動きには反映されていない。英EU離脱の政治的な動きがポンドの重しとなっている。きょうはハント英外務相が、合意なきEU離脱のリスクは高まっていると述べていた。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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