[Vol.1163] 金融引き締め開始は「物価高加速」がきっかけ

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。84.44ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,837.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,310元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年03月限は533.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで816.45ドル(前日比4.95ドル縮小)、円建てで3,035円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月25日 18時38分頃 6番限)
6,731円/g 白金 3,696円/g
ゴム 236.6円/kg とうもろこし 40,380円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金融引き締め開始は「物価高加速」がきっかけ」

前回は、「ビットコイン急落は金融相場終焉の合図」として、足元のビットコインの価格急落の意味について、筆者の考えを書きました。

今回は、「金融引き締め開始は「物価高加速」がきっかけ」として、FRBが金融政策の引き締め傾向を維持・推進している理由の一つに挙げられる「物価高」について、書きます。

前回、足元の暗号資産価格の急落は、FRBの金融政策の引き締め傾向が一因で発生した、「金融相場」が終わりを迎えた合図であり、株価下落の遠因であると述べました。

では、FRBが金融政策の引き締め傾向を維持・推進しているのは、なぜなのでしょうか。

以下の図のとおり、今年に入っても、さまざまな国際商品の価格上昇が止まらず、インフレ(物価高)懸念が長期化する可能性が生じているためです。

FRBなどの中央銀行の役割の一つに、「物価の安定」が挙げられます。中央銀行は、インフレ(物価高)懸念が強まっている時、物価高の鎮静化を企図し、金利引き上げなどの引き締め策を講じます。まさに今、起きているとおりです。(物価高と金融引き締めが同時進行)

では「物価高」は、何がきっかけで発生しているのでしょうか。次回以降、「物価高」の背景について、筆者の考えを述べます。

図:昨年末来の国際商品価格の騰落率 (2021年12月31日と2022年1月21日)


出所:Investing.comデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。