減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?②

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油(WTI先物)反落。米原油生産量の増加などで。56.05ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの上昇などで。1,534.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は11,815元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年10月限は439.5元/トン付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで599.55ドル(前日比17.35ドル縮小)、円建てで2,019円(前日比44円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月30日 18時25分頃 先限)
 5,207円/g 白金 3,188円/g 原油 37,170円/kl
ゴム 163.9円/kg とうもろこし 22,720円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?②」

今回は「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?②」として、OPECが今月までに公表した月報などをもとに、2017年1月から始まった減産と、2019年1月から始まった減産を比較します。

対象とするOPEC加盟国は、アルジェリア、アンゴラ、エクアドル、ガボン、イラク、クウェート、サウジ、UAEの8カ国です。

この8カ国は、2017年1月から継続して減産を行っているため、2017年1月からの減産と2019年1月からの減産を比較することができます。

以下の図は、この8カ国の原油生産量と、減産期間中の生産量の上限を示したものです。

2019年1月からの生産量の上限がそれ以前に比べて引き上がっていることがわかります。その幅は日量およそ40万バレルです。

これが以前の「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?①」で述べた、減産が緩くなったことを示すものです。

2019年7月の8カ国の原油生産量は日量合計2334万2000バレルで、推定される減産順守率は169%でした。※減産順守率=実際の削減量(基準となる月の生産量-2019年7月の生産量)÷合意内容に基づく削減量(基準となる月の生産量-各国の生産上限の合計)

2017年1月から2018年12月までの間でこの量に近い生産量かったのは、2017年3月の日量2332万1000バレルで、推定される減産順守率は110%でした。

生産量がほぼ同じでも、合意内容に基づく上限が引き上がったことで、より、減産順守率が上昇し、減産が上手くいっているように見えている、ということです。

つまり、7月の減産順守率が高水準なのは、ほぼ2018年12月のルール変更によるものと言えます。

減産順守率の高さに惑わされてはいけない、ということです。

図:OPEC8カ国の原油生産量と減産実施時の生産量の上限
単位:千バレル/日量


出所:OPECのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。