[Vol.1362] 「まし」がカギ。「最悪回避」に市場は満足

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。85.23ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,770.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,810元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年01月限は628.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで756.35ドル(前日比3.25ドル縮小)、円建てで3,513円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月17日 17時29分頃 6番限)
7,902円/g
白金 4,389円/g
ゴム 219.2円/kg
とうもろこし 45,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『まし』がカギ。『最悪回避』に市場は満足」
前回は、「市場は『ドル安』の兆しを創造した」として、先物市場のFF金利見通し(市場予想平均)を確認しました。

今回は、「『まし」がカギ。「最悪回避』に市場は満足」として、来年前半までのコモディティ(商品)市場を取り巻く環境(筆者予想)について、述べます。

前回のFF金利の予想は、市場が作り出した予想であり、実際のところ、その通りになるかはその時になってみなければわかりません。

足元の、緩和傾向にある予想と、各種経済指標から読み取れる実態を見比べて言えることは、市場は「最悪の状況が回避されること」、つまり「まし」な状態が続くことを期待しているのではないか、ということです。(市場は、自らが作り出した妄想にすがっているとも言える。「実態」がよくないことの裏返しか)

「まし」の具体例は、事前予想に比べて「まし」なCPI、三倍速の利上げ(0.75%の利上げ)に比べて「まし」な利上げ、です。今のところ、市場はこれで満足しているように見えます。

図:来年前半までのコモディティ(商品)市場を取り巻く環境(筆者予想)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。