週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク

 今週の原油相場は堅調な推移が想定されそうか。先週は前週末にサウジ石油施設が攻撃された影響で一時暴騰し、WTIベースで約5か月振りの高値を付けたものの、サウジが生産回復の目途を示したことで反落すると、結局は暴騰前のもみ合いレンジ上限付近で落ち着いた。

 ただし、今回の攻撃で前週までトランプ大統領が見せていたイラン制裁の緩和姿勢は一気に霧散しており、中東の地政学リスクが再び意識されたことは支えとなりそうだ。現時点では武力行使は否定されているものの、米国は攻撃をイランの仕業と非難し、イラン側も軍事攻撃を受けた場合には全面戦争になるとけん制するなど緊張感が高まっている。また、サウジは月内に生産回復が可能としているものの、早急な生産回復に懐疑的な見方もあり、引き続き供給ひっ迫懸念も意識されやすそうか。WTIで暴騰前のレンジ上限だった58ドル付近がサポートになると見て、押し目では買いが有効そうか。


 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。