週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.63ドル安の58.68ドル、ブレント原油は4.52ドル安の64.78ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅続落。米国がイランへの制裁緩和を検討しているといった報や、共同閣僚監視委員会において減産強化が見送られたことによる失望売りが引き続き重しとなった。ただし、下値からは切り返すとダウ平均が8日続伸していることなどもあり下げ幅を縮小した。

 先週は週末14日にサウジアラビアの石油施設がドローンによる攻撃を受けたことで急騰して始まったものの、その後供給ひっ迫懸念が後退したことで上げ幅を縮小する展開となった。週明けは上記のようにサウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、同国の日量の石油生産能力の約半分に当たる570万Bの生産が停止したことで供給不安が広がり暴騰した。各国が石油備蓄の放出で対応するとしたものの、これまで障害が起こりにくいと思われていたサウジの石油施設の脆弱性が明らかになったことが原油市場にショックを与えた格好となった。

 翌17日は前日の急騰の反動で戻り売り優勢となると、サウジ石油相が攻撃を受けて減少した生産量は月内には完全に回復するとの見通しを示したことで急反落となった。ただし、スケジュール通りに復旧が進むか確信が持てないといった声や、この攻撃をきっかけとした地政学リスクの高まりが支えとなり売り一巡後は下げ止まった。

 週中にかけては前日の流れを引き継ぐ形で軟調に推移すると、EIA統計が予想外に増加していたことやFOMCを受けドル高進行したことも重しとなり続落した。週末にかけてはサウジアラビアがイラクに原油供給を要請し、輸出分の確保を図ろうとしているとの報から、石油施設が短期間で回復するとのサウジの見解を疑問視させる格好となり上昇。ただ、イラクがこの報道を否定すると戻り売り優勢となり往って来いの展開となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。