エクアドル、なぜ、OPEC脱退!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。53.74ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,490.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,470元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は447.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで609.85ドル(前日比6.95ドル拡大)、円建てで2,079円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月2日 18時47分頃 先限)
 5,124円/g 白金 3,045円/g 原油 36,100円/kl
ゴム 156.5円/kg とうもろこし 24,070円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「エクアドル、なぜ、OPEC脱退!?」

前回は「サウジの事件当月の原油生産量は10%程度の減少!?」として、サウジの原油生産量への事件の影響について考察しました。

今回は、同じOPECに属するエクアドルについて述べます。昨日、エクアドルがOPECに対し、2020年1月にOPECを脱退する意向を伝えたと報じられました。

原油生産量の規模で言えば、今年8月(サウジドローン事件発生前)時点で、日量53万7000バレルと、OPEC全体(日量2974万1000バレル)のおよそ1.8%と、大きくありません。

しかしなぜ、エクアドルはこのタイミングに脱退の意向を伝えたのでしょうか?

先月、新しく就任したサウジのエネルギー大臣がはじめて参加した共同減産監視委員会(JMMC)で、減産を順守していない国は減産を順守するよう、呼びかけがありました。

エクアドルは、8月時点で減産を順守できていません。1月から8月までの8カ月間平均でも同様です。

IEAの統計によれば、エクアドルの8月の減産順守率は-100%でした。基準量から1万6000バレル減少させれば減産順守率が100%になるところ、およそ2万バレル、減産ではなく増産をしていました。

一部の報道では、エクアドルは中国に対し、多額の債務があり、その返済を原油の輸出によって行う計画があると言われています。

エクアドルは、自国の財政再建・中国への債務の返済のために、今よりもなお原油を増産しなければならない一方、OPEC加盟国として生産量に上限が課されている状況にあります。

減産から逃れたいという思いが募っていたところ、減産を強化する意思を持つリーダーが現れたことがきっかけとなり、OPEC脱退の意向が示された可能性があります。

以下のグラフのとおり、中国がエクアドルから輸入する額は年々増加傾向にありますが、減産実施から逃れられればその額はさらに増加するとみられます。

図:中国のエクアドルからの輸入額(原油とそれ以外)と原油の割合
単位:千ドル
中国のエクアドルからの輸入額(原油とそれ以外)と原油の割合

出所:UNCTAD(国連貿易開発会議)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。