サウジの事件当月の原油生産量は10%程度の減少!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。54.63ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの上昇などで。1,473.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,470元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は447.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで581.6ドル(前日比2.1ドル縮小)、円建てで1,999円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月1日 19時4分頃 先限)
 5,096円/g 白金 3,097円/g 原油 36,900円/kl
ゴム 158.8円/kg とうもろこし 23,970円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジの事件当月の原油生産量は10%程度の減少!?」

今回は「サウジの事件当月の原油生産量は10%程度の減少!?」として、昨日海外メディアが報じた9月の原油生産量のデータをもとに、先月の事件がどれだけのインパクトがあったのかを、月次の原油生産量(総量)という点から確認します。

月末か月初に海外メディアが公表するデータは速報値のような意味があると筆者は考えています。EIA、OPEC、IEAなどは来週、9月の原油生産量のデータを公表します。

当該データでは、サウジの9月の原油生産量は日量905万バレルでした。前月が日量975万バレルだったため、日量ベースで言えば7.2%の減少です。

“日量”は、一日あたりどれくらい生産するのか、いわば生産ペースを示すものです。

1日あたりの生産量にその月の日数を乗じると、月間の生産量(総量)が計算できます。

9月のサウジの生産量である日量905万バレルに30(日)を乗じると、2億7150万バレルという値が出てきます。

また、8月分を同様に計算すると、3億0225万バレルとなります。

総量ベースで見れば、9月のサウジの原油生産量は前月比、3075万バレル(10.2%)減だった、となります。

以前の「サウジの原油在庫、数カ月以内に枯渇か!?」で、サウジの原油在庫が、最大で日量6800万バレル減少する可能性があると書きましたが、実際にはその半分程度の被害で済んだと推測されます。

ただ、この推計は速報ベースの原油生産量のデータを用いています。

できるだけ確報値に近いデータを確認するためには、今月半ばに複数の専門機関が公表するデータ、さらに確度を高めるには、9月分の修正が2度行われる機会を経た、11月に公表されるOPEC月報を確認することになりそうです。

図:サウジの原油生産量(月次総量ベース) 単位:百万バレル
サウジの原油生産量(月次総量ベース)

出所:海外メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。