[Vol.1513] エルニーニョでも農産物価格が下落する場合も

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。69.20ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,913.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は11,900元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年08月限は542.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで988.8ドル(前日比12.35ドル縮小)、円建てで4,650円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月29日 13時51分時点 6番限)
8,845円/g
白金 4,195円/g
ゴム 205.4円/kg
とうもろこし 44,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:セント/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「エルニーニョでも農産物価格が下落する場合も」
前回は、「南方振動係数とは?」として、南方振動係数とエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差について、述べました。

今回は、「エルニーニョでも農産物価格が下落する場合も」として、エルニーニョ現象とトウモロコシと大豆の価格推移について、述べます。

前回までの数回、スーパーエルニーニョや、エルニーニョが発生する過程について述べてきました。今回と次回、農産物価格とエルニーニョ現象の関係について述べます。

「エルニーニョ現象発生→農産物価格高騰」という連想をいだく市場関係者は多いように感じますが、実際のところ、2000年ごろ以降は、エルニーニョ現象が農産物価格を急騰させた例はあまりありません。

以下のとおり、2000年ごろ以降、主要な穀物である大豆やトウモロコシの価格は、エルニーニョ現象が発生していなくても、急騰する場面が何度もありました。(主要な農産物に分類されるコーヒーやカカオの価格も同様)

「2000年ごろ以降」と書いたのは、それ以前の時代は、「エルニーニョ現象発生→農産物価格高騰」という連想が、しばしば現実になったことがあったためです。「2000年ごろ」を境に市場の構造を揺るがす大きな出来事があったと、考えるのが妥当でしょう。

図:エルニーニョ現象とトウモロコシと大豆の価格推移 単位:ドル/トン
図:エルニーニョ現象とトウモロコシと大豆の価格推移

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。