[Vol.2175] 肥料供給の大動脈でもあるホルムズ海峡

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。97.63ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。5,018.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年05月限は16,800元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年05月限は761.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2877.5ドル(前日比29.80ドル縮小)、円建てで15,916円(前日比60円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月17日 18時23分時点 6番限)
26,778円/g
白金 10,862円/g
ゴム 375.5円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 月足 単位:ドル/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 月足 単位:ドル/ブッシェル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「肥料供給の大動脈でもあるホルムズ海峡」
前回は、「肥料価格は原油価格に追随する傾向あり」として、肥料価格指数(世界全体)と原油相場(年平均)(2025年まで)を、確認しました。

今回は、「肥料供給の大動脈でもあるホルムズ海峡」として、窒素肥料の輸出国とホルムズ海峡関連中東8か国からの輸入国(2024年 米ドルベース)を、確認します。

化学肥料の主な原材料であるリン酸水素二アンモニウム(DAP)、重過リン酸石灰(TSP)、尿素、塩化カリウム、リン鉱石の価格推移を確認します。前回述べた世界全体の肥料価格指数や、原油相場の動向と同様、1980年ごろと2010年ごろに、長期視点の底上げが起きています。

これらの化学肥料の主な原材料の価格動向と、原油相場が密接な関わりがあることから、今後、原油相場が高止まりした場合は、これらの原材料価格も高止まりする可能性があります。

目下、イランを取り囲む中東情勢においては、激化の一途をたどり、鎮静化の兆しが見えません。鎮静化の兆しが見えないことは、世界の石油供給量のおよそ2割が通過するホルムズ海峡の封鎖が解かれるタイミングが、なかなか到来しないことを意味します。

ホルムズ海峡については、原油やそれを原材料とするさまざまな石油製品の価格や供給状況が関わっていると、多くの市場関係者が認識していますが、この数回で述べている肥料についても、大変に密接に関わっています。


図は、世界全体の肥料輸出額のおよそ36%(2024年)を占める窒素肥料(尿素と関係が深い)の輸出国と、ホルムズ海峡を通じて貿易を行っている中東の8カ国から同肥料を輸入している国の割合です。いずれも、世界各国の貿易統計をとりまとめているThe Observatory of Economic Complexity(OEC)のデータを参照しています。

窒素肥料輸出のおよそ21%を、ホルムズ海峡を通じて貿易を行っている中東の8カ国が担っています。原油をはじめとした天然ガスなどの化石燃料が、化学肥料の原材料になるケースがあるためです。

ホルムズ海峡封鎖が長期化すれば、主な輸出先であるインド、ブラジル、オーストラリア、米国、タイなどの世界屈指の農産物生産国において、生育を効率よく促す窒素肥料の供給が減少する可能性があります。

このことは、こうした農産物大国において農産物の生産量が大きく減少するきっかけとなり、引いては世界全体の農産物需給を引き締める要因になり得ます。

図:窒素肥料の輸出国とホルムズ海峡関連中東8か国からの輸入国(2024年 米ドルベース)
図:窒素肥料の輸出国とホルムズ海峡関連中東8か国からの輸入国(2024年 米ドルベース)
出所:OECのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。