週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.18ドル高の55.98ドル、ブレント原油は1.87ドル高の61.44ドルとなった。

 前週末の海外原油マーケットは、中国のGDP伸び率が過去最低だったことから米中貿易問題が改めて意識され景気減速が懸念されたこと、英下院で行われたEU離脱修正案の採決を控え、ポジション調整の売りが出たことで軟調な推移となった。ただ、対ユーロでのドル安進行から押し目を買われ、下げ幅を縮小する場面も見られた。

 週明け月曜日は中国が24億ドル規模の対米制裁措置をWTOに申請したとの報が嫌気され軟調に推移し続落となるも、翌22日には中国高官が米中貿易協議に進展があったと述べ、互いに尊重し合えば問題解決は可能との認識を示したことが好感されて反発し、往って来いの展開となった。23日は大幅続伸。EIA在庫統計にて、増加が続いていた原油在庫が減少に転じたことが好感された。原油在庫は300万B弱の増加様相に対し170万Bの減少を示し、製油所の定修が一巡し稼働率が上昇したこと及び原油輸入量の減少が要因となった模様だ。24日は小幅続伸。引き続き原油在庫の減少が意識されたほか、OPECによる追加減産への期待感も支えとなった。ただし、ペンス副大統領が米国は香港デモを支持すると述べたことで中国の反感を高める可能性が意識され、上げ幅を縮小する動きとなった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。