週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比0.12ドル高の56.99ドル、ブレント原油は0.38ドル高の62.49ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅に上昇。週末を控えた利食い売りに押される中、トランプ大統領が対中関税撤回に合意していないと発言したことで売りが進んだものの、リグ稼働数の減少などで安値からは切り返すと、小幅ながらプラスサイドで取引を終えた。

 先週は新規材料に乏しく、方向感のない展開が続いた。週明けは米中協議を巡る不透明感から売りが先行したものの、株式の上昇やクッシング原油在庫の減少が示されると下値では切り返し、下げ幅を縮小する動きとなった。翌12日はトランプ大統領の演説があったものの、米中協議に関する新たな情報はなく動意ない展開となった。週中はパウエルFRB議長が米経済は良好との見方を示したことが好感され上昇した。また、OPEC事務局長が、来年以降の非OPEC加盟国の減産の可能性を指摘したことも好感された。週末にかけてはEIA統計において原油在庫が増加していたことが重しとなり下落した。米原油生産量が前週比20万Bの日量1280万Bと最高水準を突破したことが在庫の積み増しにつながったとみられ、生産は増えているものの原油消費量が上向かないことが嫌気される格好となった。また、中国の小売売上高や鉱工業生産など経済指標の悪化も弱材料となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。