金は発見されてから現在まで数千年もの間、その輝きと希少さで世界的に価値を認められてきた資産です。
金は株式や債券とは異なる「実物資産」であり、金融市場や実体経済が風雲急を告げた時にその価値を増す「安全資産」の代表格として、世界の投資家や公的機関に認識されています。
金という資産の特徴
紀元前4000年以降の古代エジプト王朝において、金は太陽のシンボルとして崇拝されていました。
これは金が採掘、加工され、有力者の富と権力を象徴する意味を持っていたことを示しています。
さらに時代が経ち、貨幣経済が普及する中で金は通貨として用いられるようになります。
日本における金の歴史は古く、奈良時代から装飾品や仏像制作に使われていました。国内の採掘場としては佐渡金山が有名で、江戸時代には最盛期を迎えました。
貨幣としては、江戸時代になると小判が広く流通しました。明治時代に入っても金本位制が採用されていましたが、1942年には管理通貨制度に移行します。
このように、金は日本の経済と文化に深く根付いており、その価値は時代を超えて認められてきました。
1971年に米国が金と紙幣の交換を停止したことで、金の通貨としての役割は終わりを迎え、その後は民間投資需要が中心となります。
現在はこれに加え、準備資産として各国中央銀行が金保有を増加させています。
金は株式や債券のような金融資産(ペーパーアセット)とは異なる実物資産(リアルアセット)です。
金融資産のように発行体の信用度や存立によって価値が左右されることがありません。 その反面、金には金利や配当といったキャッシュフローが発生しない点が金融資産とは大きく異なります。
金はその希少性と歴史の重みによって価値を認められており、投資目的以外にも宝飾品に使われるほか、工業用の需要もあります。
金はSafe Haven(安全な退避場所)としての役割を担い、金融市場のショックや国家間の衝突などが起こった際に、しばしば「有事の金買い」が行なわれます。 このように、あらゆるリスクに対応できるのが金の大きな特徴です。
金の商品特性と用途
金は他の金属とは異なる、独自の「希少性」と「物質・化学的特性」を持っています。
現在までの産金量は27万1583トン(2023年末)で、年間の採掘量は約3100トンです。工業用金属の代表格である銅の年間採掘量が約2万2000トンであるのに比べると、その希少性は際立っています。
金は酸化されず、酸にもほぼ反応しません。そのため錆びることがなく、きわめて溶けにくく安定しており、その輝きを長く保ち続けることができます。
工業用途では、叩いたり引っ張ったりして加工することが容易であること、電気の伝導率が高いことを活かして、電子機器やコンピューターの回路に利用されます。
金の需給関係
金の地上在庫は21万2582トンで、年間の供給は4930.4トンです(いずれも2023年末)。
2010年以降、近年の年間供給は4000トン台で、緩やかな右肩上がりで推移しています。この内訳は新規の採掘が75%、リサイクルが25%です。
採掘量はじわじわと伸びているものの、供給が追い付いておらず金価格高騰の一因となっています。
産金国のトップ3(2023年)は中国・ロシア・オーストリアで、地域としてはアフリカがトップです。
金の総需要は4467.9トン(2023年末)で、その内訳は宝飾がトップで49%を占めます。次に中央銀行の購入が23%、民間投資が21%と続きます。
中央銀行の金購入は、2021年までは年間200~600トンで推移していました。
ところがロシアのウクライナ侵攻が起こった2022年に年間1000トンを突破し、継続しています。 現在のロシアのように、欧米先進国との対立から貿易や通貨取引の制限を受け、経済が抑圧されても貨幣価値を維持していくための必須の準備資産として、中国をはじめとする「グローバル・サウス」諸国において金の需要が高まっています。
投資目的では地金やコインとして安定的な需要がありますが、金先物価格に連動するETFを通じた需要は、年単位で±900トン程度増減しています。
金の価格変動要因
金の価格変動要因(リスク)は、主に以下の6つがあげられます。
- 国際政治リスク
貿易戦争や国家・経済ブロック間での排他主義、独裁国家の存在などによって、 世界情勢が不安定になると経済や金融市場へ悪影響が及ぶことを見越して、安全資産である金が買われやすくなります。
- 地政学リスク
世界情勢が政治リスクにとどまらず、現実の戦争や紛争、テロリズムの発生に至ってしまうと、「有事の金買い」が発生し金需要が大きく高まります。
- 法定通貨リスク
海外との貿易や資本取引による経常赤字が続いたり、マネーサプライが急増したりすることによって、通貨価値が棄損されインフレが高進することがあります。この極端な例がハイパーインフレです。
そうなると、人々は購買力を確保するためこぞって金をはじめとする代替資産を購入し、法定通貨の価値下落から逃避するようになります。
- インフレリスク
法定通貨リスクまでは至らなくても、インフレによって通貨価値が継続して下落していく見通しが高くなると、インフレヘッジ需要で株や不動産と並んで金が買われやすくなります。
- 景気リスク
景気後退によって株価が低迷する見通しが高くなると、金への資金移動が活性化します。
- 金融市場リスク
株価や債券価格の急落・暴落が発生して投資家がパニックに陥ると、歴史に裏付けられた価値を持つ金への逃避がしばしば起こります。
金の主なマーケット
「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)」グループ傘下の「ニューヨーク商品取引所(COMEX)」で取引される「NY金先物」が、世界の金先物価格の指標となっています。 国内では、金先物は日本取引所グループ傘下の「大阪取引所(OSE)」で取引されています。
白金(プラチナ)は「工業用」と「宝飾」の二面性を有し、その両面が影響しあって取引価格が形成されています。
白金という資産の特徴
白金は金と同じく貴金属の一種で、ある程度金価格との連動性がみられます。
白金の需要は大部分が工業用途で、主に自動車排ガス触媒や各種プラントなどで使用されます。
そのため、金価格に連動する部分はありつつも、銅などの非鉄金属の相場との連動性もみられており、価格変動がより複雑で変動性が大きくなっています。
白金の商品特性と用途
白金は1825年にロシアで大鉱脈が発見され、本格的な工業利用が開始されました。現在、産出量が最も多い国は南アフリカです。
白金は酸化せず酸・アルカリにも反応しないため、化学的安定性が高く、いつまでも美しさを保ち続けます。これは金と共通する特徴です。
耐熱性が高く触媒作用があるという特性から、自動車排ガス触媒のほか電子部品やガラス、石油化学、医療などの幅広い工業用途で利用されています。
白金の需給関係
白金の地上在庫は358.1万オンスで、年間の供給は708.9万オンスです(いずれも2023年末)。1オンスは31.1gと定められています。
2010年以降、近年の年間供給はおむね700万オンス台で推移しています。このうち内訳は新規の採掘が77%、リサイクルが23%です。
白金の総需要は750.7万オンス(2023年末)で、その内訳は自動車触媒が44%とトップです。次いで工業用が30%、宝飾が25%と続きます。
投資需要はわずか1%にとどまっているのが現状です。
白金の商品特性と用途
白金は基本的にはコモディティ、つまり工業用途の金属なので、需給の関係が重視される傾向にあります。つまり、供給過剰になれば白金価格は下がりやすく、逆に供給不足になれば上がりやすいということです。
とはいえ、実際には2015~2016年には供給不足に陥ったものの、白金価格は低迷しました。
白金には工業用金属であると同時に貴金属としての性質があります。宝飾需要は必ずしも工業需要とは一致しないため、単純な需給だけをとらえても価格動向は読みにくいというのが白金価格の特徴です。
白金の主なマーケット
「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)」グループ傘下の「ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)」で取引される「NYMEX白金先物」が、世界の白金先物の指標となっています。
国内では、白金先物は日本取引所グループ傘下の「大阪取引所(OSE)」で取引されています。
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