[Vol.2159] 「メダル製造」の負担も増加

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。66.28ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。5,059.09ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2925.99ドル(前日比2.71ドル縮小)、円建てで15,567円(前日比70円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月20日 18時08分時点 6番限)
25,976円/g
白金 10,409円/g
ゴム 358.2円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『メダル製造』の負担も増加」
前回は、「負担増す、冬季大会開催」として、冬季オリンピック大会の種目数を、確認しました。

今回は、「『メダル製造』の負担も増加」として、冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移を、確認します。

前回、冬季オリンピック大会の種目数と参加者数が増えていることで、開催国の負担が増えていると述べました。これらの増加の他にも、負担増加の要因があります。メダルの製造にかかるコストが増えていることです。

以下のグラフは、冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移です。金(ゴールド)をはじめ、主要な金属の国際価格が上昇していること受け、ミラノ・コルティナ大会のメダルの素材のコストは急増したと、考えられます。

当該大会では、金メダル245個、銀メダル245個、銅メダル245個、合計735個が授与されることになっています。これらが大会の前年である2025年に製造されたとすると、筆者の推計では、合計約48万ドル(約7,200万円)の素材コスト(リボンなどの装飾品は含まれない)がかかっています。

この額は同大会の予算とされている17億ユーロ(約20億ドル)に比べれば小さい規模ですが、今後、こうした金属の国際価格がさらに上昇した場合、運営に支障をきたす可能性も否定できません。

日本オリンピック委員会(JOC)の資料には、オリンピックは4年に1度開催される世界的なスポーツの祭典であり、スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的とし、夏季大会と冬季大会を行っている旨の記載があります。

世界平和が達成されれば、短期的な有事ムード、資源の武器利用、長期視点のインフレ、通貨の不確実性、世界分断、民主主義後退など、メダルの素材コストに大きな影響を及ぼす金(ゴールド)の価格を押し下げる要因が増え、同価格が下落することが考えられます。

そうなれば、冬季・夏季、問わず大会の運営コストの一部が、抑えられると考えられます。

ただし、筆者は金(ゴールド)相場については、長期視点の上昇トレンドを維持すると考えています。今後も、オリンピック大会のメダル素材コストは、これに伴い、増加傾向をたどる可能性があると、見ています。

図:冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移
図:冬季オリンピック大会のメダル素材コスト(推計)と金(ゴールド)価格の推移
出所:JOC、世界銀行、FREDのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。