金価格の歴史的暴騰・暴落後のサイクル転換による底打ちの検証

著者:村石 充
ブックマーク
1. 急落の背景:なぜ「1月29日」が臨界点となったのか
1月29日にドル建てゴールドが5,591ドル、JPX金先物が28,498円という異次元の高値を付けた直後、市場は「パニック的」とも言える急落に見舞われました。これには以下の3つの要因が重なっています。

・次期FRB議長人事(ケビン・ウォーシュ氏の指名): トランプ大統領が、タカ派として知られるウォーシュ氏を次期FRB議長に指名したことが最大のトリガーとなりました。それまでの「FRB独立性への懸念=ドル安期待」から一転、米ドルが急反発し、金から資金が流出しました。

・「過密」な買いポジションの巻き戻し: 中東情勢や米財政赤字を背景に、投資家のポジションが極端に「買い」に傾いていました。最高値更新によって利益確定の動機が強まっていたところへ、証拠金引き上げが重なり、ロスカットを巻き込んだ連鎖下落が発生しました。

・地政学リスクの「一時的」緩和期待: 米国主導によるウクライナ・ロシア情勢の和平交渉への期待感が報じられ、安全資産としてのプレミアムが剥落しました。

2. タイムサイクル分析による現状評価
独自のタイムサイクル分析は、今回のボラティリティを非常に正確に捉えています。



【アナリストの視点】
2月2日の安値(ドル建て4,409ドル/国内22,601円)でサイクルがボトムを打ったと仮定すると、現在は新たな上昇波動の初期段階、あるいは急落に対する修正リバウンドの過程にあります。特に国内価格は、円安基調が下支えとなっており、ドル建てよりも戻りが早い傾向が見られます。


出所:Win Stationをもとに筆者作成


出所:Win Stationをもとに筆者作成

3. 今後の注目ポイントとテクニカル水準

① 戻りの節目(レジスタンス)
急落幅に対する「半値戻し」の水準が、最初の関門となります。

ドル建て: 5,000ドルの心理的節目。ここを明確に抜けると、強気派が戻ってきます。
JPX金先物: 25,500円〜25,600円付近(現在地)。ここを維持できるかが焦点です。

② 実需と中央銀行の動き
価格が20%近く調整したことで、中国やインドなどの実需筋、および外貨準備の多角化を進める中央銀行が「押し目買い」に動くかが注目されます。4,400ドル近辺での底堅さは、これら長期保有勢の介入を示唆しています。

③ 米雇用統計と金融政策の行方
今後の米雇用統計などの経済指標により、ウォーシュ次期議長下の「高金利維持」観測が強まれば、再びドルの重石となる可能性があります。

4. 結論
今回の急落は、歴史的暴騰に伴う「不純物(過剰な投機買い)」を振り落とす健全な調整であった可能性が高いと言えます。タイムサイクルが示す通り、2月2日でボトムを確認できているのであれば、ここからは「パニック売り」から「選別投資」のフェーズへ移行します。

短期的にはボラティリティが高い状態が続くため、レバレッジ管理を徹底しつつ、サイクル理論に基づく次のトップ形成(概ね20〜25本後)を意識した戦略が有効でしょう。

 

投資助言プラス+

このコラムの著者

村石 充(ムライシ ミツル)
フジトミ証券(株) 投資助言事業部チーフアナリスト / 認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
1996年より金融業界に身を置き、商品先物オプションやFXの自己ディーリングを通じて多様なトレード手法を習得。2007年に日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)を取得。現在はYouTube「フジトミチャンネル」にて、独自のサイクル理論と金融占星術を軸に、プライスアクションや移動平均線を組み合わせた実戦的な相場戦略を配信。投資助言サービスでは、金・白金・原油などの商品先物から、日経225・NASDAQ100といった株価指数まで、エビデンスに基づいた売買タイミングを提供している。