[Vol.2147] 急落は短期的、長期の「土台」は健在

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。62.16ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,939.54ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年05月限は16,180元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年03月限は449.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2709.64ドル(前日比161.14ドル拡大)、円建てで14,689円(前日比56円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月3日 19時09分時点 6番限)
25,344円/g
白金 10,655円/g
ゴム 342.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「急落は短期的、長期の『土台』は健在」
前回は、「金(ゴールド)、プラチナ、銀、一時急落」として、主要銘柄の昨年末以来の騰落率(25年末と日本時間2月2日昼時点を比較)を、確認しました。

今回は、「急落は短期的、長期の『土台』は健在」として、ドル建て金(ゴールド)価格の変動イメージを、確認します。

筆者は、直近で発生した金(ゴールド)相場の急落の理由は、三つあると考えています。一つ目は、トランプ米大統領が「ロシアが1週間ほど、ウクライナとの戦闘を停止する」旨の発言をし、(1)伝統的な有事をきっかけとした上昇圧力が、後退したことです。(有事ムードの後退)

二つ目は、今年5月に交代を予定している米連邦準備制度理事会(FRB)の議長について、利下げに否定的な人物が就任するかもしれない、という思惑が広がり、(3)代替通貨をきっかけとした上昇圧力が、後退したことです。(利下げ→ドル安→金(ゴールド)高のシナリオ後退)

三つ目は、1月の中旬から下旬にかけて発生した、歴史的高値更新を実現した劇的な急騰劇で大きくなった利益を確定させるための売りが膨らんだとみられることです。伝統的な有事と代替通貨をきっかけとした上昇圧力が急激に弱まり、そこに利益確定の売りが拍車をかけ、急落が発生したと、考えられます。

伝統的な有事をきっかけとした上昇圧力、そして代替通貨をきっかけとした上昇圧力が、ともに急激に弱まったことについては、以下の図の通り、短中期のテーマにおける事象だと言えます。

さらには、利益確定の売りも、短中期的な事象になるケースが多いことから、今回の急落は「短中期的」な事象であると言えます。このため、しばらく下落が続いたとしても、その下落が長期に及ぶ可能性は低いと、今のところ、筆者は考えています。

また、図の通り、金(ゴールド)相場には、2010年ごろから続いている長期的な価格上昇を支える「土台」があると、考えられます。

この土台に関わる環境は、急落前と後で、何ら変わっていません。土台は、中長期の時間軸「中央銀行(金(ゴールド)保有量・通貨ストック)」、そして超長期の時間軸「非伝統的な有事(通貨不確実性・世界分断・民主主義後退など)」という、長い時間軸のテーマです。

図:ドル建て金(ゴールド)価格の変動イメージ
図:ドル建て金(ゴールド)価格の変動イメージ
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。