週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比2.54ドル高の58.53ドル、ブレント原油は2.73ドル高の62.39ドルとなった。

 前週の原油市場は、週初はやや弱含む動きとなったものの、地政学的リスクの高まりや供給不安が強まる中で、週後半にかけて反発する動きとなった。

 週前半の市場では、OPECプラスによる供給余力や世界的な供給過剰見通しが引き続き重石となり、原油価格は上値の重い推移が目立った。2026年にかけても供給過剰が続くとの見方が市場に根強く、需給ファンダメンタルズ面からは下押し圧力が意識されていた。しかし、週後半に入ると米国による対ベネズエラ政策の強化を背景に、同国からの原油供給に対する不透明感が高まったほか、イランでの抗議デモやロシア・ウクライナ情勢を巡る緊張が供給リスクを再び意識させる要因となった。これを受けて原油には買い戻しが入り、1月9日にはブレントが62ドル台、WTIが58ドル台まで上昇するなど、週としては上振れする動きとなった。加えて、週末にはトランプ大統領が対ロシア制裁法案を承認する方針と伝わり、供給過剰への懸念が後退した。同法案は早ければ来週にも採決される見通しで、ロシア産の石油や天然ガスを購入した国に最大500%の関税を課す案が盛り込まれている模様である。これにより、ロシア産エネルギーの流通制約が意識され、原油市場では供給不安を背景とした買いが強まった。また、米国の在庫統計では予想以上の原油在庫減少が示された日もあり、短期的な需給改善期待が相場を下支えした。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は供給過剰懸念と地政学的リスクが拮抗する中、神経質な値動きが続くとみられる。中長期的には供給余力の大きさや需要の伸び悩みが上値を抑える一方、短期的には政治・外交要因が相場の変動要因となりやすい。とりわけ注目されるのは、対ロシア制裁法案の行方である。トランプ大統領が同法案を承認し早期の採決方針が伝わる中、ロシア産の石油・ガスを購入する国に最大500%の関税を課す内容が現実味を帯びれば、ロシア産エネルギーの供給制約が意識され原油価格の下支え要因となる可能性がある。一方で、制裁が実際に発動されるまでには不透明感も残り、需給ファンダメンタルズの弱さが改めて意識される局面では上値が抑えられる展開も想定される。総じて来週は、政策・地政学ニュースに反応しやすい相場環境の中で、WTIは60ドル近辺、ブレントは60ドル台前半を中心としたレンジ推移が見込まれる。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。