【金5,000時代】いまからでも遅くない?2026年ゴールド相場を支える3つの構造要因

著者:村石 充
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「金(ゴールド)が高すぎて、もう手が出せない」
そう感じるのは、ごく自然な感覚である。
1オンス=2,000ドルで「天井」と言われ、3,000ドルで「バブル」と騒がれた時代を経て、2026年現在、金価格は5,000ドルという歴史的水準に到達している。
チャートを見て、「もっと早く買っておけばよかった」と感じる投資家も少なくないだろう。
しかし、金投資において重要なのは「過去の価格」ではなく、「現在の構造」である。
なぜ史上最高値圏にあるにもかかわらず、金が買われ続けているのか。
そこには、単なる投機とは異なる、構造的な背景が存在する。
本記事では、2026年の金市場を支える3つの視点から、その本質を整理する。

ドル建てゴールド(月足)
出所:Win Stationをもとに筆者作成

理由1:中央銀行による金準備増強の継続
近年、金市場で存在感を強めているのは各国中央銀行である。
特に中国、インド、中東諸国などの中央銀行は、外貨準備の多様化の一環として金保有を増やしている。
背景には、地政学リスクの高まりや、外貨準備の分散ニーズがあると考えられる。
米ドルは依然として基軸通貨であるが、一部の国では外貨資産の構成比率を見直す動きが進んでいる。
その選択肢の一つとして金が選ばれている点は、市場にとって無視できない材料である。
国家レベルの安定的な需要は、金価格の下支え要因となっている。

理由2:インフレ構造と通貨価値への意識変化
金価格上昇を語る際、「金が高くなった」という表現が用いられるが、別の見方をすれば「通貨の購買力が低下している」とも言える。
世界的な財政拡張と累積債務の増加は、通貨価値に対する長期的な懸念を生んでいる。
現在のインフレは一時的な供給制約だけでなく、構造的な財政・金融政策の影響も含んでいる。
こうした環境下では、法定通貨以外の価値保存手段への関心が高まりやすい。
金は利息を生まない資産である一方、歴史的に通貨価値の変動局面で選好されてきた。
5,000ドルという水準は、単なる投機ではなく、こうした構造的背景を反映している可能性がある。

理由3:供給制約と採掘コストの上昇
金は無限に供給できる資源ではない。
近年、金鉱山開発は深部化・低品位化が進み、採掘コストは上昇傾向にある。
さらに環境規制の強化により、新規鉱山の開発には長い時間と資金が必要とされている。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)やメタルズ・フォーカスなどのデータによれば、オールイン維持コスト(AISC)は上昇基調にある。

2026年、金は「値上がり資産」から「価値保存資産」へ
金価格が5,000ドルに達した現在、重要なのは短期的な価格予想ではない。
中央銀行の需要構造、通貨環境の変化、供給制約。
これらを総合すると、金は単なる価格上昇を狙う投資対象というより、「資産の一部を保全する手段」としての位置づけが強まっていると言える。
もちろん、短期的な調整局面は十分起こり得る。
高値圏ではボラティリティも拡大しやすい。
しかし金投資の本質は、「安く買って高く売る」ことよりも、
ポートフォリオの安定性を高める役割にある。
5,000ドルという水準が歴史的高値であることは間違いない。
だがそれが「終点」なのか、「新たな基準」なのかは、今後の世界経済の行方次第である。
重要なのは、価格だけで判断するのではなく、
自らの資産全体のバランスの中で金の役割を再評価することだろう。


※【ご注意】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。相場変動リスクにより元本を割り込む可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
 

 

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このコラムの著者

村石 充(ムライシ ミツル)
フジトミ証券(株) 投資助言事業部チーフアナリスト / 認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
1996年より金融業界に身を置き、商品先物オプションやFXの自己ディーリングを通じて多様なトレード手法を習得。2007年に日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)を取得。現在はYouTube「フジトミチャンネル」にて、独自のサイクル理論と金融占星術を軸に、プライスアクションや移動平均線を組み合わせた実戦的な相場戦略を配信。投資助言サービスでは、金・白金・原油などの商品先物から、日経225・NASDAQ100といった株価指数まで、エビデンスに基づいた売買タイミングを提供している。