【金相場分析】米雇用統計の悪化とイラン情勢の泥沼化

著者:村石 充
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―「有事の金」が売られるパラドックスの正体―

■日中立会いは大幅下落
週明け9日のJPX金先物(27年2月限)は、前日比180円安の26,885円で寄り付き、軟調な展開となっています。背景には、2月の米雇用統計を受けた利下げ期待と、泥沼化する地政学リスクに伴う「キャッシュ化」の動きが複雑に交錯しています。

1. 米雇用統計の低調さと「利下げ期待」の再燃 3月6日発表の2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が9.2万人減、失業率も4.4%へ上昇と、予想を大きく下回る内容でした。
•金のサポート要因:労働市場の冷え込みは、FRBによる早期利下げ観測を強め、本来は金利を生まない金にとって強力な追い風となります。
•市場のジレンマ:しかし、原油高によるインフレ再燃懸念がFRBの足元を固めさせ、素直な利下げ期待を阻害していることが、上値を抑える要因となっています。

2. イラン情勢の長期化と「有事の金」の変質 「オペレーション・エピック・フューリー」の発動により、イラン情勢は実戦段階へと移行。長期化が現実味を帯びる中で、セオリーとは異なる動きが見られます。
•地政学リスクのパラドックス:通常なら急騰局面ですが、戦況の泥沼化による原油高を受け、市場は「金買い」よりも「現金の確保(リクイデーション)」を優先。スタグフレーションへの警戒感が投資家のリスク許容度を下げ、利益確定売りを誘発しています。

■テクニカル分析:調整は「値幅」から「日柄」へ
タイムサイクル分析では、トップサイクルが26本目、ボトムサイクルが24本目(共に平均37本)を形成中です。実線は10日EMA(26,949円付近)を下抜けており、ボトムに向けた「日柄」の調整、あるいはハーフトップ形成の動きを示唆しています。

特筆すべきは、3月7日〜9日の「火星・天王星のスクエア」という重要変化日に直面している点です。天体配置によるボラティリティの高まりが、ドル建て金(5,050ドル付近)の急落と連動しており、目先はこの変化日を通過して底固めができるかが焦点となります。
オシレーター系では、MACDが下向きに転じヒストグラムがマイナス圏へ沈むなど、上値の重さが鮮明です。一方でスローストキャスティクスは調整が進んでおり、押し目買いの好機をうかがう局面に入りつつあります。

■総合判断・注目ポイント
目先は10日EMAが抵抗となり、ドル建て価格の5,000ドルの大台維持を睨んだ下値模索の展開が想定されます。国内価格の下値目処としては、25日EMA(26,300円付近)が強いサポートとして意識されそうです。

※【ご注意】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。相場変動リスクにより元本を割り込む可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
JTGC(金標準先物)日足
出所:Win Station

 

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このコラムの著者

村石 充(ムライシ ミツル)
フジトミ証券(株) 投資助言事業部チーフアナリスト / 認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
1996年より金融業界に身を置き、商品先物オプションやFXの自己ディーリングを通じて多様なトレード手法を習得。2007年に日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)を取得。現在はYouTube「フジトミチャンネル」にて、独自のサイクル理論と金融占星術を軸に、プライスアクションや移動平均線を組み合わせた実戦的な相場戦略を配信。投資助言サービスでは、金・白金・原油などの商品先物から、日経225・NASDAQ100といった株価指数まで、エビデンスに基づいた売買タイミングを提供している。